2025.05.06
クリニック奮闘記
Vol.891 【医療機関向け】人材不足は「仕組み」で解決する|院内対応の限界と成功する外部活用法ウトソーシングという選択肢
医療・介護業界では慢性的な人材不足が続いています。「求人を出しても応募がない」「スタッフが辞めるたびに疲弊する」----そんな悩みを抱える院長・管理者の方は多いのではないでしょうか。
実はその課題、"採用活動"だけで解決しようとするのは危険です。
本記事では、人材不足を「人」で補う発想から脱却し、「仕組み」で解決するための具体的な方法と、成功している医療機関の実例を紹介します。
第1章:医療・介護現場における人材不足の実態
● 医療事務、看護助手、介護職...どこも人が足りない
高齢化に伴い需要は増える一方で、労働人口は減少。医療・介護分野はとくに"人手を必要とする労働集約型"産業であり、事務・看護・介護いずれも人材確保が困難になっています。
● 採用活動の"限界"
求人サイトや人材紹介会社に頼っても、応募はゼロ。仮に採用できても数か月で退職してしまう例も多く、「教育→退職→補充」の負のスパイラルに陥っている医療機関が後を絶ちません。
第2章:人手不足の本質は「業務設計」の欠陥
● 担当者に業務が属人化していないか?
「〇〇さんしかレセプトがわからない」「新人には難しい」――これらはすべて、業務の"見える化"と"標準化"がなされていない証拠です。
● スタッフが"やらなくてよい仕事"まで抱えていないか?
診察予約の電話対応、物品の在庫管理、検査会社とのやり取りなど、現場には"誰でもできる仕事"が埋もれています。それらをスタッフが手作業で行っている限り、業務量は減りません。
第3章:人材不足を「仕組み」で解決する3つのステップ
ステップ |
解説 |
① 業務の棚卸しと分類 |
業務を「専門性が必要な仕事」「マニュアル化できる仕事」「外注可能な仕事」に分類。 |
② 業務プロセスの再設計 |
できるだけ自動化・簡略化・外部化する流れに再構築。 |
③ 業務の外部化と標準化 |
医療事務・レセプト・コールセンター業務などは専門業者へ。 |
第4章:成功事例に学ぶ「外注による人材不足解消」
● 【ケース1】医療事務のアウトソーシングで受付スタッフの離職ゼロに(大阪・内科クリニック)
電子カルテの入力補助とレセプト点検業務を外部に委託したことで、受付スタッフは窓口対応と患者案内に集中できるようになり、業務の負担感が大幅に軽減。結果として3年間でスタッフの離職者ゼロを実現。
● 【ケース2】電話代行の導入で看護師の残業ゼロに(東京・整形外科)
診療時間外やリハビリ中の電話対応が減ったことで、看護師の本来業務への集中力が向上。クレームも減り、患者満足度も向上。
第5章:「外注はコスト」ではなく「経営投資」である理由
外注や仕組み化は、単なるコストではなく、「人材を消耗せずに持続可能な経営を実現するための投資」です。
- 採用・教育・定着のためのコストが削減される
- 管理者が"マネジメント"に集中できる
- スタッフの定着率とモチベーションが上がる
- サービスの質が安定する
これらすべてが、「経営効率の改善」と「働きやすい職場づくり」につながっていきます。
まとめ:これからの医療機関に必要なのは「人」ではなく「仕組み」
人材不足に悩むすべてのクリニック・介護事業所に問いたいのは、「その仕事、本当に職員がやる必要がありますか?」ということです。
院長や管理者が業務全体を俯瞰し、「仕組み」で解決する視点を持つこと。それが、慢性的な人手不足からの脱却、そして長期的に持続可能な医療経営の第一歩となります。