2024.09.13
クリニック奮闘記
Vol.739 クリニック経営における市場分析と差別戦略化(1日目)
クリニック経営における市場分析と差別戦略化(1日目)
クリニックを成功させるための始まりは、マーケットが求めるサービスを理解し、自院の立場を明確にすることです。皮膚科クリニックでは特に、自由診療と保険診療のバランスが大きな課題となります。
1.市場分析の重要性
まず、自院が位置する地域の市場を正確に把握することが必要です。 人口動態、経済状況などを分析し、地域の患者層にどのようなニーズがあるのかを把握しますたとえば、都市部では夜間帯の診療や美容皮膚科のニーズが高く、地方では一般的な皮膚科疾患(アトピー性皮膚炎や乾癬、老人性皮膚病)などの治療ニーズがあります。
このような分析をもとに、自由診療のニーズがどの程度あるのか、保険診療に特化した場合の収益性はどうかを認識することが重要です。 ここでいう収益性とは利益のことを指しますが、保険診療に比べて診療単価の高い自費診療に優位性があるということではありません。あくまでも設備投資等のコストを考慮した上での最終利益で判断しなければならないのです。
2.競合との差別化
次に他院との差別化戦略についてお話をしていきます。差別化には、治療技術や診療サービスのほか、クリニックの雰囲気やスタッフの対応力も重要な要素です。最新のレーザー治療機器の導入だけでなく、アメニティを重視した待ち時間対策なども差別化の一要素となります。また、スタッフの質や接遇も、患者がクリニックを選ぶ際の大きな決め手となります。 丁寧で思いやりのある対応や、患者同士に合わせた細やかなケアを提供することで、口コミや患者のリピートを増やすことにつながるでしょう。
3.マーケティングと戦略広告
差別化が図られたら、それを正しくマーケティングすることが重要です。 特に美容皮膚科や自由診療では、インターネット広告やSNSを使ったプロモーションが有効だと考えられていますが、現在では唯一の広告手段であるといってもよいでしょう。広告効果としては非常には信頼感がありますが、医療広告ガイドラインを守った適正な広告表現が求められるということを注意しましょう。
また、患者の口コミや紹介を促進するためのプログラムを導入するのも効果的です。 信頼できる友人や家族からの紹介は、特に自由診療を検討している患者にとって重要な選択基準となります。逆にマイナスの口コミにも注意が必要で、ネガティブな書き込みに目を光らせることも必要です。
4.長期的視点での成長戦略
クリニックの成長を長期的に見据えるには、現在の市場だけでなく、将来的な傾向や患者のニーズの変化にも対応する必要があります。アンチエイジング治療や老人性皮膚疾患に対するケアの需要が増加する可能性があります。また、オンライン診療の普及により、遠方の患者を取り込む新しいビジネスモデルも検討していきましょう。とかく、医療業界ではDXが遅れていますので、テクノロジーに対する積極的な投資は惜しまない様にした方がよいのでないでしょうか。