Vol.767 内視鏡専門クリニックにおけるSDM導入

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クリニック奮闘記

2024.10.21

クリニック奮闘記

Vol.767 内視鏡専門クリニックにおけるSDM導入

高橋院長は、自身のクリニックが地域の患者さんの健康に貢献していることに大きな喜びを感じていました。しかし、患者さんとのコミュニケーションにおいて、より深いレベルの理解と共感が求められるのではないかという思いが募っていました。そんな時、SDM(シェアード・ディシジョン・メイキング)という概念に出会い、クリニックの診療に革新をもたらす可能性を感じたのです。

SDM導入の決定と準備

高橋院長は、看護師の斎藤さんと医療事務の長谷川さんを呼び寄せ、SDM導入について話し合いました。

高橋院長:「皆さんは、患者さんと治療についてもっと深く話し合いたいと思いませんか?SDMという考え方を導入することで、患者さんとの信頼関係を深め、より良い医療を提供できるようになるかもしれません。」

斎藤さん:「それは素晴らしい考えですね。ただ、患者さん一人ひとりとじっくり話し合う時間がないのが現状です。」

長谷川さん:「医療事務の仕事も増えそうで、少し不安です。」

高橋院長は、皆の不安を理解しつつ、SDM導入のメリットを説明しました。

高橋院長:「確かに、最初は時間がかかるかもしれません。しかし、患者さんの満足度が向上し、医療ミスを防ぐことにもつながります。そして、私たち医療者も、患者さんから多くのことを学べるはずです。」

その後、クリニックでは、SDM導入に向けた準備が本格的に始まりました。

  • 患者向け資料の作成: 検査や治療に関する情報を分かりやすくまとめた資料を作成しました。
  • スタッフ教育: 医療者向けのSDM研修を実施し、コミュニケーションスキル向上を目指しました。
  • 時間管理の工夫: 診療スケジュールを見直し、患者さんとの十分なコミュニケーション時間を確保できるようにしました。

中村さんのケース

ある日、大腸ポリープが見つかった中村さんが、再診に訪れました。検査の結果、ポリープは良性でしたが、中村さんは不安な様子でした。

中村さん:「先生、このポリープは再発する可能性はありますか?また、将来、がんになる可能性もあるんでしょうか?」

高橋院長:「中村さん、ご心配でしょう。まずは、検査の結果について詳しく説明させてください。」

高橋院長は、中村さんに分かりやすい言葉で検査結果を説明し、ポリープの種類や再発の可能性、今後の経過観察について丁寧に説明しました。その後、中村さんの不安や疑問に一つひとつ丁寧に答えていきました。

高橋院長:「中村さんは、今後どのように過ごしていきたいですか?定期的な検査を受けることに抵抗はありますか?」

中村さん:「そうですね...、やはり定期的に検査を受けて、様子を見たいと思います。」

高橋院長:「それでは、次回の検査の時期を一緒に決めましょう。何か気になることがあれば、いつでもご相談ください。」

中村さんは、高橋院長の丁寧な説明に安心し、今後の治療方針について一緒に決めることができました。

SDM導入後の変化

SDMを導入して数ヶ月後、クリニックには変化が見られました。

  • 患者さんの満足度向上: 患者さんからの感謝の声が増え、満足度が向上しました。
  • 医療者の意識の変化: 医療者たちは、患者さんとのコミュニケーションの重要性を改めて認識し、より積極的に患者さんと向き合うようになりました。
  • 医療の質向上: 患者さんとの丁寧な話し合いを通じて、より適切な治療計画を立てることができるようになりました。

さらなる発展へ

SDMの導入は、クリニックにとって大きな転換点となりました。しかし、高橋院長は、まだ道半ばであることを認識していました。

高橋院長:「SDMは、一朝一夕にできるものではありません。これからも、患者さんとの信頼関係を築き、より良い医療を提供できるよう、スタッフ一同で努力していきたいと思います。」

まとめ

内視鏡専門クリニックにおけるSDM導入は、患者さんとのコミュニケーションを深め、医療の質を向上させる上で非常に有効な手段です。しかし、導入には時間と労力が必要であり、スタッフの意識改革も不可欠です。

この物語が、SDMを導入しようと考えている医療機関の参考になれば幸いです。

この物語で描かれたSDM導入のポイントは以下です。

  • 患者とのコミュニケーションを重視する
  • 患者が理解できる言葉で説明する
  • 患者の意見を尊重する
  • スタッフ教育の重要性
  • 時間管理の工夫

SDM導入における課題と解決策

  • 時間不足: 診療スケジュールを見直し、患者さんとの十分なコミュニケーション時間を確保する。
  • コミュニケーションスキル不足: スタッフ向けの研修を実施し、コミュニケーションスキルを向上させる。
  • 患者側の理解不足: 患者向け資料を作成し、分かりやすく情報を提供する。

SDM導入によって期待できる効果

  • 患者さんの満足度向上
  • 医療の質向上
  • 医療ミス防止
  • スタッフのモチベーション向上

SDMは、患者中心の医療を実現するための重要なツールです。この物語を参考に、あなたのクリニックでもSDMを導入してみてはいかがでしょうか。