2024.10.21
クリニック奮闘記
Vol.768 クリニック経営におけるSDM(シェアードデシジョンメイキング)の活用について~前回のまとめ
SDM(シェアードデシジョンメイキング)をクリニック経営に取り入れることは、患者との信頼関係構築や医療の質向上に繋がると期待されています。以下に、クリニック経営におけるSDMの活用方法についてまとめておきます。
1. 患者とのコミュニケーションの改善
- 情報提供の充実: 患者が治療選択肢を理解できるよう、分かりやすい言葉で情報を提供します。
- 患者への質問: 患者の価値観や優先順位を把握するために、積極的に質問を行います。
- 共感的な傾聴: 患者の話をじっくり聞き、共感的な態度で接します。
- 治療に関する説明: それぞれの治療法のメリット・デメリットを具体的に説明し、患者が理解しやすいように図や表などを活用します。
2. 意思決定プロセスへの患者の参画
- 選択肢の提示: 患者に複数の治療選択肢を提示し、それぞれの治療法について詳しく説明します。
- メリット・デメリットの説明: それぞれの治療法のメリット・デメリットを比較し、患者が理解しやすいように説明します。
- 患者の意見の尊重: 患者の意見を尊重し、治療計画を一緒に決めていきます。
3. スタッフ教育
- SDMの重要性の理解: スタッフ全員がSDMの重要性を理解し、実践できるように教育します。
- コミュニケーションスキルの向上: 患者とのコミュニケーションスキル向上のための研修を実施します。
- ロールプレイング: 実際の診療場面を想定したロールプレイングを行い、SDMの実践スキルを習得します。
4. システムの整備
- 意思決定支援ツール: 患者が治療選択肢を比較検討できるような意思決定支援ツールを導入します。
- 情報共有システム: 患者に関する情報をスタッフ間で共有できるシステムを導入します。
5. 組織文化の醸成
- 患者中心の医療: 患者中心の医療を実践する組織文化を醸成します。
- チームワークの強化: スタッフ間の連携を強化し、チームワークを向上させます。
SDM導入のメリット
- 患者の満足度向上: 患者が治療に関与することで、満足度が向上します。
- 治療へのアドヒアランス向上: 患者が治療計画に納得することで、治療へのアドヒアランス(治療への協力性)が向上します。
- 医療の質向上: 患者と医療者が協力して治療計画を立てることで、より適切な医療を提供できます。
- 医療訴訟のリスク軽減: 患者とのコミュニケーションが円滑に行われることで、医療訴訟のリスクが軽減されます。
導入時の注意点
- 時間のかかる取り組み: SDMは一朝一夕にできるものではなく、継続的な取り組みが必要です。
- スタッフの負担: スタッフの負担が増える可能性があるため、人員配置や業務分担を工夫する必要があります。
- 患者の理解: すべての患者がSDMを希望するとは限らないため、患者の状況に合わせて柔軟に対応する必要があります。
まとめ
SDMをクリニック経営に取り入れることで、患者との信頼関係を築き、医療の質を向上させることができます。しかし、SDMを効果的に実施するためには、スタッフ教育やシステムの整備など、様々な取り組みが必要です。