2024.10.21
クリニック奮闘記
Vol.769 クリニックにおけるSDM導入と診療時間の確保に関する工夫
クリニックにおけるSDM導入と診療時間の確保に関する工夫
SDM導入は患者との信頼関係構築に非常に有効ですが、診療時間が増えるという懸念はごもっともです。院長の診察時間を極力減らさずに、SDMを円滑に運用するための工夫を5つご紹介します。
1. 事前準備の徹底
- 問診票の活用: 患者に事前に問診票を記入してもらい、気になる点や質問を事前に把握します。これにより、診察時のヒアリング時間を短縮できます。
- 電子カルテの活用: 過去の診療記録や検査結果を電子カルテで事前に確認し、診察に備えます。
- 診療補助者の活用: 看護師や医療事務に、問診票の確認や検査結果の説明など、一部の業務を分担させます。
2. 時間管理の徹底
- 時間枠の設定: 患者一人当たりの診察時間をあらかじめ決めておき、時間配分を意識します。
- タイマーの使用: 診察室にタイマーを設置し、時間管理を徹底します。
- 中断を最小限に: 電話対応や急患対応は、極力診察時間中にしないようにします。
3. コミュニケーションスキルの向上
- スタッフ教育: スタッフ全員がSDMの重要性を理解し、患者とのコミュニケーションスキルを向上させるための研修を実施します。
- ロールプレイング: 実際の診療場面を想定したロールプレイングを行い、スムーズなコミュニケーションを習得します。
- 簡潔な説明: 専門用語を避け、患者が理解しやすい言葉で簡潔に説明するよう心掛けます。
4. 診療補助ツールの導入
- 意思決定支援ツール: 患者の価値観や治療選択肢を可視化し、患者との共同決定を支援するツールを導入します。
- タブレット端末: 検査画像や治療の説明資料をタブレット端末で提示することで、視覚的に情報を伝達できます。
5. 診療フローの見直し
- 予約システムの改善: 時間帯予約制を導入し、患者が集中する時間帯を分散させます。
- 診療動線の改善: 患者がスムーズに移動できるよう、診療動線を工夫します。
- 待合室の工夫: 待合室で患者がリラックスできるような工夫をし、待ち時間を有効活用してもらいます。
これらの工夫を組み合わせることで、診療時間を短縮しつつ、患者との丁寧なコミュニケーションを実現することができます。
その他、検討すべき点
- 患者の理解: SDMの目的やメリットを患者に説明し、理解を得ることが重要です。
- チームワーク: スタッフ間で密な連携を取り、効率的な診療を行うことが大切です。
- 定期的な評価: SDM導入の効果を定期的に評価し、改善点を検討することが重要です。
SDM導入は、患者との信頼関係を深め、医療の質を向上させるための重要な取り組みです。上記のような工夫を参考に、ご自身のクリニックに合ったSDMを構築してください。