Vol.770 医療者と患者の間の「情報の非対称性」の解消について

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クリニック奮闘記

2024.10.21

クリニック奮闘記

Vol.770 医療者と患者の間の「情報の非対称性」の解消について

医療者と患者の間には、専門的な医療知識に関する情報量に大きな差があるため、「情報の非対称性」が生じます。この非対称性は、患者が自身の病気を正しく理解し、治療に積極的に参加することを阻む可能性があります。

情報の非対称性を解消するための具体的な方法

情報の非対称性を解消するためには、以下の様な取り組みが考えられます。

1. 患者への丁寧な説明

  • 分かりやすい言葉で説明する: 専門用語を避け、患者が理解しやすい言葉で説明する。
  • 図や模型を活用する: 病気や治療法を視覚的に説明することで、理解を深める。
  • 繰り返して説明する: 重要な点は、何度か繰り返して説明することで、患者にしっかりと理解してもらう。
  • 患者からの質問に丁寧に答える: 患者からの質問には、根気強く丁寧に答える。

2. 患者への情報提供

  • パンフレットやウェブサイトの活用: 病気に関するパンフレットや、クリニックのウェブサイトに分かりやすい情報を掲載する。
  • 患者向けセミナーの開催: 定期的に患者向けのセミナーを開催し、病気に関する知識を深めてもらう。

3. 患者参加型の医療の実践

  • SDM(シェアード・ディシジョン・メイキング)の導入: 患者が治療の決定過程に積極的に参加できるよう、SDMを導入する。
  • 患者会との連携: 患者会と連携し、患者同士の情報交換を促進する。

4. 医療情報の公開

  • 医療機関の透明性: 医療機関の医療情報や医師の経歴などを公開し、患者の選択を支援する。
  • 医療情報システムの活用: 電子カルテシステムなどを活用し、患者が自身の医療情報を閲覧できるようにする。

事例:糖尿病患者へのSDM

糖尿病患者への治療説明を例に、SDMの実践方法を具体的に説明します。

  • 患者との対話: 患者に、血糖コントロールの目標や生活習慣、合併症のリスクなどについて丁寧に説明します。
  • 治療選択肢の提示: 薬物療法、インスリン療法、食事療法など、様々な治療選択肢を提示し、それぞれのメリット・デメリットを詳しく説明します。
  • 患者の価値観の尊重: 患者の生活習慣や経済状況、価値観などを考慮し、患者にとって最適な治療法を一緒に検討します。
  • 共同で治療計画を立てる: 医師と患者が共同で治療計画を立て、患者が治療に積極的に取り組めるようにします。

情報の非対称性を解消することの重要性

情報の非対称性を解消することで、以下のメリットが期待できます。

  • 患者の満足度向上: 患者が自身の病気について理解を深め、治療に積極的に参加することで、満足度が向上します。
  • 治療へのアドヒアランス向上: 患者が治療計画に納得することで、治療へのアドヒアランス(治療への協力性)が向上します。
  • 医療の質向上: 患者と医療者が協力して治療計画を立てることで、より適切な医療を提供できます。
  • 医療訴訟のリスク軽減: 患者とのコミュニケーションが円滑に行われることで、医療訴訟のリスクが軽減されます。

医療者と患者の間の情報格差をなくし、患者が主体的に医療に関わることは、より良い医療の実現につながります。