2024.12.16
クリニック奮闘記
Vol.812 訪日外国人の診療費の未収問題
未収防止に向けた対策
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事前説明の徹底:
- 治療内容と費用: 診療前に、治療内容、費用、支払い方法などを、可能な限り分かりやすく説明します。
- 保険適用: 日本と自国の保険制度の違い、適用される範囲などを明確に伝え、誤解を防ぎます。
- 支払い方法: 現金、クレジットカード、デビットカードなど、様々な支払い方法に対応し、患者が支払いやすい環境を整えます。
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契約書の締結:
- 治療契約書: 診療内容、費用、支払い条件などを明記した契約書を締結し、双方の合意を得ることで、後のトラブルを防止します。
- 署名・捺印: 契約書には、患者本人の署名と捺印を必ず得ましょう。
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保証人の確保:
- 滞在中の保証人: 日本に滞在中の保証人を立てるよう依頼し、万が一の際に連絡が取れるようにします。
- 旅行保険: 旅行保険に加入している場合、医療費の一部または全額が支払われる可能性があります。
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身分証明書の確認:
- パスポート: 患者本人の身分証明書であるパスポートを確認し、コピーを保管します。
- 在留カード: 長期滞在者には、在留カードの確認も必要です。
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未収金発生時の対応:
- 督促: 未払いとなった場合は、丁寧かつ毅然とした態度で、書面や電話などで督促を行います。
- 弁護士への相談: それでも回収できない場合は、弁護士に相談し、法的措置を検討します。
その他の対策
- 多言語対応: 診療案内や契約書などを、英語をはじめとする主要言語で用意します。
- 医療機関の国際化: JCI認証取得など、国際的な基準を満たすことで、信頼性を高め、海外からの患者誘致につなげます。
- 未収金補填制度の活用: 各都道府県で実施されている未収金補填制度を活用することで、経済的な負担を軽減できます。
未収防止の難しさ
- 言語の壁: 言葉の壁により、説明が十分に伝わらない場合がある。
- 文化の違い: 各国の文化や価値観の違いにより、契約に対する意識が異なる場合がある。
- 経済状況: 患者本人の経済状況によっては、支払い能力がない場合もある。
まとめ
訪日外国人の診療における未収問題は、医療機関にとって大きな課題ですが、事前の準備と対応によって、未収リスクを軽減することができます。患者との信頼関係を築き、円滑な診療を行うために、上記の対策を参考に、自院に合った対策を講じてください。