Vol.814 開業5年目を迎えたクリニックの経営計画の立案

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クリニック奮闘記

2024.12.25

クリニック奮闘記

Vol.814 開業5年目を迎えたクリニックの経営計画の立案

新規買開業から早5年目を迎えた内科クリニックを例にとって、年初にあたっての経営計画立案を考えてみたいと思います。5年という節目は、これまでの実績を振り返り、今後の成長戦略を練る上で非常に重要な時期です。以下に、経営計画立案のポイントを段階的にまとめました。

1. 現状分析(過去の振り返り)

  • 過去5年間の業績評価:
    • 患者数、診療報酬、収益、費用(人件費、医薬品費、光熱費など)の推移を分析します。
    • 目標としていた数値と実績との乖離を把握し、要因を分析します。
    • 患者層の変化(年齢構成、疾患傾向など)を把握します。
  • 強み・弱み分析(SWOT分析):
    • 強み (Strengths): 他のクリニックと比較した際の強み(例:地域での評判、専門性、最新機器の導入など)を明確にします。
    • 弱み (Weaknesses): 改善すべき点(例:待ち時間の長さ、スタッフの教育不足、情報発信の弱さなど)を明確にします。
    • 機会 (Opportunities): 今後の事業展開における好機(例:高齢者人口の増加、新しい治療法の登場、地域イベントとの連携など)を明確にします。
    • 脅威 (Threats): 経営に影響を与える可能性のある外部要因(例:競合クリニックの増加、診療報酬改定、感染症の流行など)を明確にします。
  • 患者満足度調査: 患者アンケートなどを実施し、患者のニーズや不満点を把握します。

2. 環境分析

  • 診療圏調査の再評価: 周辺地域の人口動態、競合クリニックの状況、地域ニーズの変化などを改めて調査します。
  • 医療政策・診療報酬改定の動向: 今後の医療政策や診療報酬改定がクリニック経営に与える影響を予測します。
  • 最新医療技術・治療法の動向: 新しい医療技術や治療法を導入する可能性を検討します。

3. 目標設定

  • 数値目標: 売上高、患者数、利益率など、具体的な数値目標を設定します。過去のデータや環境分析に基づいて、現実的かつ挑戦的な目標を設定することが重要です。
  • 定性目標: 患者満足度の向上、スタッフのスキルアップ、地域貢献の強化など、数値で表しにくい目標も設定します。
  • 目標達成時期: 各目標について、達成時期(例:1年後、3年後)を設定します。

4. 具体的な戦略立案

  • 集患戦略:
    • ウェブサイト、SNS、地域イベントへの参加などを通じた情報発信の強化。
    • 紹介患者の増加に向けた取り組み。
    • 待ち時間短縮のための予約システムの改善。
  • 診療体制の強化:
    • 専門性を高めるための研修参加や資格取得支援。
    • 新しい医療機器・治療法の導入。
    • 多職種連携(例:訪問看護ステーションとの連携)の強化。
  • 人材育成:
    • スタッフのスキルアップのための研修制度の充実。
    • チームワーク向上のための取り組み。
    • 働きがいのある職場環境づくり。
  • 経営効率の改善:
    • 業務フローの見直しによる効率化。
    • コスト削減のための取り組み。
    • 電子カルテなどのITシステムの有効活用。
  • リスクマネジメント:
    • 医療事故防止策の徹底。
    • 感染症対策の強化。
    • 個人情報保護対策の徹底。

5. 計画の実行・評価・見直し

  • 実行計画の作成: 具体的な施策、担当者、実施時期などを明記した実行計画を作成します。
  • 進捗管理: 定期的に進捗状況を確認し、必要に応じて計画を修正します。
  • 効果測定: 目標達成度を評価し、次期計画に反映します。

特に開業5年目のポイント

  • 事業承継の検討: 将来的な事業承継(親族への承継、第三者への承継など)について、早期から検討を始めることも重要です。
  • 多角化の検討: 既存の診療に加えて、健康診断、予防接種、訪問診療など、新たなサービス展開を検討するのも良い時期です。
  • 地域連携の強化: 地域包括ケアシステムへの参加などを通じて、地域医療機関との連携を強化することで、地域におけるクリニックの役割を確立できます。