Vol.834 『スキー場は夏に儲けろ!』から学ぶクリニックのマーケティング戦略

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クリニック奮闘記

2025.01.29

クリニック奮闘記

Vol.834 『スキー場は夏に儲けろ!』から学ぶクリニックのマーケティング戦略

本日は『スキー場は夏に儲けろ!和田寛著(東洋経済社)』の内容から、クリニックの経営戦略の視点を考察してみたいと思います。全く違う業界ではありますが、学ぶことの多いエッセンスが凝縮されており、機会があればご一読いただきたい一冊です。

 

著者は白馬岩岳マウンテンリゾート代表を務める和田氏ですが、低迷していたスキー場を復活させた立役者として有名な経営者です。もともと外資系のコンサルタント会社で勤務していた経験も十分に生かされているとは思いますが、ハッとするような意外な着眼点で経営改善を図られました。

 

バブル期にはスキーブームに乗って、全国のスキー場は活況を呈していましたが、昨今では雪不足の原因を除外して考えても、全盛期には到底及ぶものではありません。

また、ご存じの通り、冬季シーズンはスキー客がおとずれるものの、夏場のスキー場は利用価値がなく、一年間の収益を冬季シーズンに稼がなければならないのが常でした。そこで、和田氏が考えていたのは、夏場に収益化できるビジネスモデルの模索です。

とはいえ、山以外に何もない場所に何をすればよいのかという当たり前の問題に直面し、プロジェクトメンバーは困り果てていたようです。

そこで最終的に行き着いた答えは、『何もない』と思われているモノに価値を与えることでした。

"山しかない"のであれば、山を商品化しようということで考え出されたのが、超巨大ブランコです。いわゆるハイジのブランコですが、最大5時間待ちの大ヒットです。アルプスの雄大な自然の中に漕ぎ出すブランコの爽快さを体感してもらいます。利用料金もなんと500円です。

他にも東京の人気店のパン屋の誘致や、マウンテンバイクコースを設けるなどにより夏場のスキー場にも利用者が訪れるサービスを展開してきました。

ここでのポイントは、

①    何もないと思われている中にある『隠れた資産』を見つけること

自然しかない環境の中で、その自然が商品であると位置付け、サービスとして作り上げています。

②    そこに来る理由をつくること

夏場のスキー場に、わざわざ行かなければならない理由を作っています。超巨大ブランコは今では、日本全国各地で地域創生のキラーコンテンツとして広がっていきました。

 

この2点をクリニックのマーケティング戦略に取り入れて考えてみましょう。

ここでのポイントも2点

①    診療科によって繁忙期と閑散期がありますが、一年を通じて平準化するための工夫をどうするか(閑散期にもクリニックに来院してもらえる医療サービスの視点)

②    当たり前に行っているサービスにスポットを当てて、差別化できるモノはないだろうか。

 

集患すること自体が目的ではありません。患者サービスの視点に立って①②のポイントについて考えてみて下さい。以外なコトが患者サービスの向上につながっていくのではないでしょうか。