2025.03.10
クリニック奮闘記
Vol.855 新規採用が難しい、今・・・・
新規採用が難しく、現場のオペレーションが上手くいかないというご相談が増えています。
残業時間も増えてしまって、働きかた改革どころではないという現場の切実な声が上がってきています。
新規雇用に関しては、人口減少社会の中にあって避けられない問題です。
処遇の改善や勤務形態の見直しにより、職場環境の改善をしたとしても限界があります。(新規採用については別のコラムで紹介しているので本稿では触れません。)
また最低賃金の引上げにより人件費率も増加、それに伴い医療機関の収益も悪化してくる中で経営の最適化を図る手段は2つです。
①人財教育と業務のアウトソーシング化
②既存の人財活用による業務の効率化の検討
新規採用が難しい中で、業務品質の維持担保が難しくなってくることが考えられます。
事業所として行うことはDXによる業務効率化です。DXにより業務効率(作業効率)をあげることが第一です。
次にスタッフのスキルアップです。
ハードへの投資とソフト(人財)への投資の両方により、現在の人力で効率化の最大化を図ることを考えます。経営的に余裕のあるときは、生産効率の低さは問題になりません。率の低さを量でカバーできるからです。診療報酬が潤沢にあった時代がそれにあたります。それゆえに医療業界では"経営"がおろそかにされてきました。企業では当たり前のことができていなかった時代があったのです。
経営は売り上げの大きさで評価されるものではありません。『利益』です。器にあった適正規模の経営ができれば、しかっりと利益をだすことはできます。筋肉質の経営で基礎体力を蓄えることが一番重要です。
ハード、ソフトの内部資源を充実させた上でアウトソーシングを検討します。
事業はゴーイングコンサーンです。(永続しなければならない)
安定的に業務を進めていかなければなりません。そのために内部リソースだけで弱い部分は、積極的にアウトソーシングを検討しましょう。
部署ごとアウトソースすることも可能ですが、過度に外部に頼ることも大きな経営リスクになりますのでお薦めできません。
頼りきりになると価格交渉権がなくなるだけでなく、何らかの理由により契約継続が困難になった場合、院内で対応できなくなるからです。
万一に備えて内部で処理できる体制は残しつつ外注に頼るスタンスを守りましょう。アウトソーシングできる業務として考えられるものには、
①事務、経理業務 ②総務人事(事務的作業に限る) ③レセプト請求業務 ④受付業務 ⑤秘書業務(クラーク) などがあります。
採用が難しくなった昨今では、開設当初から自動化による省人化とアウトソースによる経費の変動費化を実現することで、外部環境の変化に対応しやすい経営環境を構築しようとする医療機関も増えてきているようです。