Clinic Diary
クリニック奮闘記
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クリニック奮闘記
クリニックのDXは「道具」より「業務」から考える
DXという言葉を聞くと、電子カルテや予約システムの導入を思い浮かべる院長先生が多いと思います。しかし、システムを入れただけで業務が楽になったクリニックは、実はそれほど多くありません。DXの目的は、道具を新しくすることではなく、院内の仕事の流れそのものを見直すことにあります。</p>
電子カルテの普及は、診療所でまだ半分程度
厚生労働省の令和5年医療施設調査では、電子カルテの導入率は一般病院で65.6%、一般診療所で55.0%でした。診療所のほぼ2軒に1軒は、まだ紙のカルテで診療を続けている計算です。
国はこの状況を変えようとしています。厚生労働省は2026年9月に「電子カルテ普及計画」をまとめ、遅くとも2030年には、おおむねすべての医療機関で、患者の医療情報を共有するための電子カルテの導入を目指すとしています(<a href="https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001748251.pdf" target="_blank">厚生労働省「電子カルテ普及計画」)。
それでも導入が進まない3つの理由
日本医師会が紙カルテの診療所に行った調査では、54.2%が電子カルテの「導入は不可能」と答えました。理由として多かったのは、ITの操作に不慣れであること、導入費用が高いこと、そして導入しても数年しか使う見込みがないことです。院長が高齢の診療所ほど、この傾向は強くなっています。
いずれも、システムの性能ではなく、クリニックの事情から生まれる理由です。だからこそ、DXは院長一人の決断だけでは進みません。
うまくいかないDXに共通するパターン
私たちがレセプト業務を通じて多くのクリニックを見てきた中で、DXがうまくいかない例には共通点があります。高額なシステムを一度に導入し、スタッフへの説明や研修を後回しにするケースです。現場の業務とシステムが合わず、結局は紙との併用に戻ってしまいます。
反対にうまくいくクリニックは、小さく始めています。たとえば、予約や問診のように効果がすぐ見える業務から取りかかり、スタッフが慣れたところで次の業務に広げていきます。
レセプト業務は、DXの効果が最も数字に出やすい>
どこから始めるか迷ったときは、レセプト業務を見直してください。レセプトは、診療の内容がそのまま収入に変わる業務です。電子カルテの記録が請求に正しく反映されているか、算定漏れや査定がないかを点検すると、改善の効果が金額ではっきり見えます。
最近は、レセプト業務をリモートで外部に任せる方法も一般的になりました。院内に専門のスタッフを置かなくても、電子カルテのデータをもとに請求の精度を高められます。人手が足りないクリニックにとっては、これも立派なDXの一つです。
まとめ
クリニックのDXは、システムを選ぶことではなく、業務を見直すことから始まります。国が電子カルテの普及を急ぐ今こそ、自院の業務のどこに無駄や取りこぼしがあるかを確認してください。その入口として、効果が数字で見えるレセプト業務は最適です。
監修:柳 尚信(株式会社メディカルタクト 代表取締役)
会計事務所系コンサルティング会社で医療機関の経営支援に携わり、レセプト請求代行の取引実績は600件超。地区医師会や製薬会社でのセミナー講師、日経メディカルオンラインでのコラム連載『開業の落とし穴』『診療所駆け込み寺』を務める。著書『クリニック経営はレセプトが9割』(2021年、幻冬舎)。
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