Vol.895 集患対策における成功事例と失敗事例

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クリニック奮闘記

2025.04.27

クリニック奮闘記

Vol.895 集患対策における成功事例と失敗事例

成功事例

1. 地域密着型の取り組みが功を奏したクリニック(内科クリニック)

ある地方都市で開業した内科クリニックは、開院当初、ウェブ広告や雑誌広告などに頼らず、地域の小学校や町内会、老人会に向けた「健康講座」を毎月開催した。
テーマは「高血圧の正しい知識」「糖尿病予防」「インフルエンザの対策」など、地域ニーズに合わせた内容で、地元の人たちに役立つ情報提供に徹した。

この活動を続けた結果、地域住民に「親しみやすい」「話をよく聞いてくれる先生」という評判が自然と広まり、数年後には患者数が当初の1.5倍に増加した。
口コミによる紹介患者も多く、広告費をほとんどかけずに安定経営を実現できた。

成功ポイント:

  • 患者に直接メリットのある情報提供に徹した

  • 顔が見えるリアルな関係づくり

  • 長期視点で地域への貢献を優先した


2. ホームページとSEOを最大限活用した皮膚科クリニック

都市部で開業した皮膚科クリニックでは、広告代理店を使わず、自院のホームページを徹底的に作り込んだ。
ターゲットは「働く女性」であり、サイトデザインもおしゃれで清潔感のあるものに統一。皮膚のトラブルQ&Aや、自宅でできるスキンケア方法の記事を定期的に更新し、「皮膚科コラム」として蓄積していった。

SEO対策も意識し、「駅名+皮膚科」や「ニキビ治療+地域名」など、よく検索されるワードをページ内に自然に散りばめた。

結果、開業から1年足らずで「地域名+皮膚科」で検索すると常に上位表示されるようになり、特に20〜40代女性の新患が大幅に増加。初診から自由診療(美容皮膚科)へ移行する患者も多く、高収益クリニックへと成長した。

成功ポイント:

  • 自院のターゲット層を明確化した

  • ウェブマーケティングを継続的に強化した

  • 直接的な広告表現に頼らず、自然流入を作った


失敗事例

1. 誇大表現で行政指導を受けた美容クリニック

自由診療を中心とする美容クリニックが、SNS広告に「たった1回で若返り!」「驚きの効果保証」といったキャッチコピーを使ったところ、厚生労働省から医療広告ガイドライン違反の指摘を受けた。
さらに、治療前後の写真も、条件を満たさずに無断掲載していたため、行政指導が入った。

結果、該当広告をすべて削除し、ホームページも大幅に修正を求められた。
これにより、広告経由で集まっていた新規患者が激減し、クリニックの収益は半年で半分以下に落ち込んだ。

失敗ポイント:

  • 医療広告規制を軽視した表現を使った

  • 集患を急ぐあまり、法令遵守より短期効果を優先した

  • 是正対応に追われ、信頼を大きく失った


2. ポータルサイト依存で集患が頭打ちになった整形外科

整形外科クリニックが、ポータルサイト(医療機関紹介サイト)に大きな費用をかけて広告掲載をしていたが、依存しすぎたために問題が起こった。
確かに開院当初は患者が流入したが、同じエリアに競合クリニックが増えると、検索順位が下がり、集患効果が激減。
しかし自院でホームページを充実させていなかったため、自力で患者を呼び込む手段がなかった。

契約更新のたびにポータルサイト運営会社に高額な掲載料を支払う必要があり、コストだけが膨らんでいった。
3年後、資金繰りが厳しくなり、閉院に追い込まれた。

失敗ポイント:

  • 外部依存型の集患施策に偏った

  • 自前のメディア(土台)を育てなかった

  • 環境変化への備えがなかった


成功と失敗の分かれ道

ここまでの事例から明らかなのは、
短期的な集患に頼るか、中長期的な信頼構築に取り組むか
この違いが、成功と失敗を大きく分けているということです。

特に医療業界では、広告・宣伝が派手であればあるほど逆効果になりやすく、
「選ばれるクリニック」になるには、地道な努力を積み重ねるしかない
という現実があります。

「広告で呼び込む」のではなく、
「信頼をもとに患者さんが自然と来院する」
この流れを作れるかが、クリニック経営者に求められる本当の実力です。