Vol.899 私たちが年間100万件以上のレセプト請求を正確に処理できる理由

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クリニック奮闘記

2025.05.06

クリニック奮闘記

Vol.899 私たちが年間100万件以上のレセプト請求を正確に処理できる理由

レセプト請求において最も重要なのは「正確さ」です。わずかなミスや記載漏れが、数万円〜数十万円の減点・返戻につながることも少なくありません。特に、スタッフの経験や知識に頼る属人的な業務体制では、人的ミスのリスクを完全に防ぐのは難しいのが現状です。

年間1,000件以上のレセプト請求を処理する中で、私たちは「正確さ」をどう担保し続けているのか。この記録と実践を通じて見えてきたのは、「正確さを維持する仕組み」を院内に整えることの難しさと、その代替としての外部委託の合理性でした。本記事では、正確なレセプト処理を実現する仕組みと、院内業務の再設計に役立つ視点についてご紹介します。


1章:なぜ私たちは「正確なレセプト業務」が可能なのか?

1-1. 専任スタッフによる二重チェック体制

属人的な業務体制では、担当者のミスをカバーするのは難しいのが実情です。私たちが実践しているのは、初回点検と再確認を別のスタッフが担う「二重チェック体制」です。これにより、人的ミスのリスクを抑えると同時に、客観的な視点でレセプトを精査する習慣が根づいています。

1-2. 診療科ごとの専門チーム

例えば皮膚科と内科では、レセプトの注意点や加算要件がまったく異なります。それぞれの診療科ごとに専門性を持った担当者がいることにより、特有のルールや注意点を踏まえた対応が可能となります。これは、院内で全スタッフに同様の専門性を持たせることの難しさと比較して、大きな差を生みます。

1-3. 診療報酬改定への即時対応

制度変更は年々複雑化し、院内スタッフが通常業務の合間に改定内容を把握・反映することは簡単ではありません。私たちのような専門チームでは、診療報酬改定や疑義解釈通知をリアルタイムに共有・反映する体制があり、それがミスの予防や加算漏れの回避につながっています。


2章:年間1,000件以上の処理実績があるからこそ見える「現場の落とし穴」

2-1. 手入力ミスよりも怖い「カルテとの不一致」

レセプト業務における返戻や査定の大きな要因は、実は「記載の不整合」です。医師のカルテ記載と請求内容にずれがあると、たとえ診療内容が正当であっても査定対象になります。このリスクを減らすには、医療現場の記録の読み解きと補完が必要であり、これは多くの医療機関が苦手とする領域でもあります。

2-2. 月末の焦りが生む「確認不足」

締切に追われる中での確認作業は、どうしても粗くなりがちです。処理のピークを避けてスケジューリングすることは理想ですが、外来対応や人手不足の中で実現するのは困難です。そうした状況に対応するには、定常的に前倒しで業務を設計できる環境が必要になります。

2-3. 医師の記載ミスや抜け漏れへの対応

レセプトの精度は、事務だけでなく医師の記録にも大きく依存します。私たちは定期的に記載傾向を分析し、カルテ上の改善ポイントをフィードバックする仕組みを取り入れています。このような外部の視点を持つことで、院内の記録精度も自然と高まっていきます。


3章:安定した医療提供体制のために考えたい「業務の再構築」

3-1. レセプト業務の属人化をどう解消するか

レセプト業務は一部のスタッフに依存しがちで、その人の退職や休職が大きな業務リスクになります。業務のマニュアル化、標準化を進めると同時に、特定の人に依存しない体制をどう構築するかが問われます。

3-2. 院内業務の集中と分散の最適化

医療機関の運営には多くの業務があり、その全てを院内で完結することが必ずしも効率的とは限りません。事務作業の一部を外部に委ねることで、限られた人的リソースを患者対応や質の高い医療の提供に振り向けることが可能になります。

3-3. 「経営の視点」で見るレセプト業務

レセプト業務は単なる請求処理ではなく、診療報酬という収入の根幹を支える業務です。これを専門性の高いパートナーと連携して行うことは、経営の安定化にも直結します。品質の高いレセプト業務がもたらすのは、単なる返戻の削減にとどまらず、スタッフの余裕や診療の質にも波及していくのです。


まとめ

正確なレセプト請求を実現するには、個人のスキルに頼るのではなく、安定した体制と継続的な改善が不可欠です。業務の一部を外部に委ねることで、院内のリスクを分散しつつ、本来注力すべき診療や患者対応にリソースを集中することが可能になります。

レセプト業務の質と効率をどう確保するかは、これからの医療機関経営において避けては通れないテーマです。