2025.06.30
クリニック奮闘記
Vol.934 DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性
クリニックのDXとは、単なる業務のIT化ではなく、デジタル技術を活用して業務プロセスや患者体験そのものを変革する取り組みを指します。
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電子カルテとクラウド化:紙ベースの記録からクラウドベースの電子カルテへの完全移行により、医療情報の共有と業務効率化が図れます。
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オンライン診療・決済:初診・再診ともにオンライン診療が可能な体制を整えることで、移動困難な患者への対応が可能になります。
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チャットボットやAIの導入:予約受付、問診、よくある質問への対応などを自動化することで、人的負担を大幅に削減。
■DX導入における課題 とはいえ、導入には初期投資が必要であり、スタッフのITリテラシー不足も障壁になります。こうした課題を克服するには、段階的な導入と外部ベンダーとの連携が鍵となります。また、患者側のデジタル対応力にも配慮し、高齢者でも使いやすいUI/UX設計が求められます。
■リスキリングの必要性 人材採用が困難な時代においては、既存スタッフの能力開発=リスキリングが極めて重要です。医療事務スタッフがITツールを活用して業務改善を提案する、看護師がデジタル問診の補助に対応するなど、業務の垣根を越えたマルチタスク型のスキルが求められます。
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教育投資と研修体制の整備:eラーニングや動画研修、外部セミナーへの参加補助などによって学習環境を整備する必要があります。
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モチベーション管理:単なるスキル教育ではなく、キャリアパスを示すことが離職率低下にもつながります。
■DXとリスキリングの相乗効果 DXとリスキリングは別個の施策ではなく、相互に補完し合う関係です。DXによって業務が簡素化されれば、スタッフはより創造的な業務にリソースを割くことができ、リスキリングによりその変化に柔軟に対応する力を身に付けられます。
■まとめ 人口減少という構造的問題に対し、DXとリスキリングはクリニックの持続可能性を支える両輪となります。デジタル技術を味方にし、スタッフの成長を促すことで、限られた経営資源の中でも高いサービス品質と効率性を両立させることが可能です。