2025.07.22
クリニック奮闘記
Vol.948 小規模クリニックに必要な人事評価制度の導入メリット
「うちは小規模だから人事評価制度なんて必要ない」----そう語る院長先生は少なくありません。しかし、職員の定着率が悪い、モチベーションが上がらない、院長とスタッフの距離が縮まらないなど、日々の課題に直面しているクリニックほど、実は人事評価制度が大きな効果を発揮します。
本記事では、小規模クリニックに人事評価制度がなぜ必要なのか、その具体的なメリットと理由を解説します。医療法人や個人クリニック問わず、院長先生が「経営者」として組織を運営していく上で不可欠な視点をご提供します。
小規模クリニックでも評価制度が必要な背景
スタッフの不満は「評価の不透明さ」から生まれる
人事評価制度を導入していないクリニックでは、昇給や賞与が院長の感覚や経済状況に左右されがちです。そのため、スタッフが「なぜ私は昇給しなかったのか」「頑張っても評価されない」と感じ、不満が溜まってしまいます。
結果として、
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優秀なスタッフが退職
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院長とスタッフの信頼関係が崩壊
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新人の育成が滞る といった事態に発展します。
小規模だからこそ「一人ひとりの貢献」が重要
大病院と異なり、クリニックでは1人の看護師、1人の医療事務の働きが業績に直結します。だからこそ、**「どう評価されているのか」**を明示することで、スタッフのやる気と責任感を高めることができます。
評価制度は「監視」のための仕組みではなく、**「応援」と「成長支援」**のツールなのです。
小規模クリニックにおける評価制度の導入メリット
① スタッフのモチベーション向上
「自分の努力が見られている」「成長が認められている」と実感できることで、スタッフは高い意欲を持って業務に取り組むようになります。結果的に、
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接遇が向上
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業務の効率がアップ
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院内の雰囲気が良くなる といったプラス効果が生まれます。
② 定着率の向上
クリニックでは1人の退職が大きな痛手です。評価制度によって「自分は大切にされている」という実感を与えることができ、離職率の低下にもつながります。
③ スタッフの成長支援
評価制度を通じて「今の課題」と「今後の成長目標」を明確にできるため、教育・育成の指針になります。新人スタッフにとっても、何を期待されているのかが明確で安心感が生まれます。
④ 経営の可視化・計画化
人事評価制度を整備することで、給与や賞与の根拠が明確になり、経営の見通しが立てやすくなります。財務との連動も可能になり、院長の「なんとなく運営」から「戦略的経営」へと転換できます。
⑤ 感情に左右されない公平な評価
スタッフ間の人間関係によって昇給に差が出る、といった問題を防ぐことができます。評価基準を明示することで、「なぜこの人が昇給したのか」が誰の目にも明らかになります。
⑥ コミュニケーションの活性化
定期的な評価面談を通じて、スタッフの想いや悩みに耳を傾ける機会が増えます。特に院長と医療事務、看護師との関係性が深まり、風通しの良い職場になります。
⑦ トラブル防止
「私はこんなに頑張っているのに、評価されていない」というスタッフの不満は、時に労務トラブルに発展します。評価制度があれば、客観的な指標で説明・対応ができます。
⑧ 採用競争力の強化
「評価制度があるクリニック」は求職者にとって魅力的に映ります。採用時にも「どうすれば昇給できるか」を伝えられるので、優秀な人材の獲得にもつながります。
評価制度を導入しない場合のリスク
評価制度を持たないことは、時に「院長のさじ加減で給与が決まる」という印象を与えます。その結果、
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不信感の醸成
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影での不満や愚痴
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チームワークの崩壊 に繋がる可能性があります。
「今までうまくやってきたから大丈夫」と思っていても、スタッフの構成や時代の価値観が変わる中で、リスクは年々高まっています。
まとめ:人事評価制度は"攻め"の経営戦略
人事評価制度は単なる「給料の決め方」ではありません。スタッフの成長を支え、組織を一歩先へ導くための「攻めの経営ツール」です。小規模だからこそ、一人ひとりの影響力が大きく、その努力を適切に評価し、還元する仕組みが必要です。