Vol.1148 フィードバックの質と頻度が育成を左右する ― プロセスに着目した指導の重要性

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クリニック奮闘記

2026.04.27

クリニック奮闘記

Vol.1148 フィードバックの質と頻度が育成を左右する ― プロセスに着目した指導の重要性

リーダー育成において、フィードバックは不可欠な要素である。しかし、その多くは結果に対する評価にとどまり、意思決定のプロセスに踏み込んだ指導が十分に行われていないケースが少なくない。

医療機関では、日々の業務が多忙であるため、結果のみを確認しがちである。しかし、結果は偶然や外部要因に左右されることも多く、それだけでは適切な評価や学習につながらない。重要なのは、「なぜその判断に至ったのか」「他にどのような選択肢があったのか」といった思考過程を振り返ることである。

耳鼻咽喉科クリニックの事例では、受付リーダーが患者対応のトラブルを解決した際、院長は結果だけでなく対応プロセスについて詳細なフィードバックを行った。具体的には、「どの段階で状況を把握したのか」「なぜその対応を選択したのか」「他に取り得た手段は何か」といった点を一緒に検討した。このプロセスを繰り返すことで、リーダーは状況判断力を高め、より柔軟な対応が可能となった。

フィードバックの質を高めるためには、対話形式が有効である。一方的な指摘ではなく、問いかけを通じて相手の思考を引き出すことで、自律的な学習が促進される。また、フィードバックはタイミングも重要であり、できるだけ事象に近い段階で行うことで、記憶の鮮度を保ちながら振り返ることができる。

さらに、フィードバックはネガティブな内容に限るものではない。適切な判断や行動に対しては、その理由を明確にしながら承認することで、望ましい行動の再現性が高まる。

育成が進まない組織の特徴として、「任せっぱなし」が挙げられる。権限委譲だけを行い、振り返りの機会を設けなければ、経験は単なる作業の繰り返しにとどまる。フィードバックは、その経験を学習へと転換する役割を担う。

医療機関におけるリーダー育成は、日常業務の中で行われるべきものである。その中核となるのが、質の高いフィードバックであり、これを継続的に実施することで、組織全体の意思決定力が底上げされる。