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2017.12.26

Vol.39 スタッフ間の給与バランスを考える

毎年、新卒採用を行う企業では、従業員の給与は、基本的には年功的にスライドしていきます。

そのため、人事評価による賃金格差は出てくるものの、基本的な給与の枠組み自体に不公平感が感じられ

ることはありません。

これに対し中途採用者が一般的であるクリニックでは、キャリアや能力に、当初から差がある人を採用し

ています。

決まった給与規定に沿って賃金が決まるというよりは、その場しのぎの個別の契約により賃金が決まって

いくことが多い様に思われます。

従って、人によって初任給(基本給)が異なることとなり、スタッフ全体の給与体系に整合性が取れてい

ない結果になってしまっています。

本稿では、スタッフの苦情から生じた、給与格差に悩むA院長の苦悩をご紹介したいと思います。

 

A院長  「今日のお昼休みに賞与の支給明細をお渡しします。順番に呼ぶから帰らないでくださいね。」

 そうして、一人一人と個別面談をしながら支給明細を渡していきます。

開業当初は人事評価を行って昇給賞与を決めていましたが、忙しくなってくるとそんな時間はなく、今で

は一律に基本給に倍率を掛けて支給金額を出しています。

ですから面談時には金額についての説明を行うのではなく、世間話的な内容でやり過ごしていきます。

 次の日、看護スタッフBから賞与について疑問があるからと、支給金額について説明を求められました。

 

看護スタッフB「院長、賞与の支給基準を教えて下さい。」

A院長    「基本給の1.5ケ月です。全員同じだから不公平はないと思うけど。」

看護スタッフB「その基準になってる基本給は、どの様に決められているのですか?」

 

このクリニックでは、給与を決定する際、看護師の場合は実務経験に関係なく、年齢に応じて基本給を決

定しています。クリニックで必要とされる能力には差がないという判断から、実務経験については不問に

しているのです。ことことが若手看護師の不満の種になっている様です。

この年配看護師は、休職期間が長ったこともありトータルの実務年数は若手看護師よりも短いのです。

若手からすると仕事はできないし、テキパキ動かないし、年齢が上だという理由で基本給が高いことに納

得がいっていない様です。

 

(まとめ)

給与体系の変更をする場合、変更前の給与額を保証することを基本とします。

基本給部分で全体のバランスを整え、不満の温床になっている格差の部分については「調整手当」などの

手当項目により、支給総額が下がらない様にします。

この場合、給与体系を変更したからといって、各人の支給金額が是正されることにはなりませんが、大事

なことは「評価基準」を「基本給」に置き換えることの宣言をすることにあります。

スタッフの入退職が繰り返される中で、数年を掛けて格差を吸収してくイメージです。

また一般的には賞与は基本給を基準に算定されていますが、必ずしも基本給をベースにする必要はありま

せん。客観的な「別の」支給基準があれば、それを活用することもできます。

本稿におけるA院長の対応としては、年配看護師が後数年で定年を迎えることから、現状のスタッフの給与

体系の変更はしませんでした。

その上で、今後、採用するスタッフについては不公平がない様に、新しい給与モデルを構築することにし

ました。

 

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