Vol.41 施設の訪問診療の恐怖!契約解除は突然に。

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2017.12.28

Vol.41 施設の訪問診療の恐怖!契約解除は突然に。

「サービス付き高齢者専用住宅」や「住宅型有料老人ホーム」などの施設の入居者は、様々な職種のサー

ビスにより日常を支えられています。

日常の世話をしてもらう訪問介護サービスやデイケア(デイサービス)、そして介護保険の司令塔として

ケアマネージャーの存在があります。

また医療が必要な場合は、クリニックや病院の主治医が訪問診療を、看護については訪問看護師がサポー

トをしています。こうして一人の高齢者の日常は、複数の人によって支えられているのです。

本稿では、こうした「多職種連携」において起こった「ある事件」を題材し、医療介護のチーム連携の問題点をテーマにしたいと思います。

前回のメルマガで取り上げたA医師と、訪問先の「サービス付き高齢者住宅」が今回の舞台です。

 

A院長「当初の訪問先は3件だけだったけど、1年も経つと医療の必要な人も増えてきた。」

施設長「今では20人が先生のお世話になっていますね。いつも有難うございます。」

 

当初3人の訪問しかなかった頃は、施設側のスタッフも慣れていなかったこともあり、電話での相談が頻繁

にありました。その頃のA院長は、いずれ増えることを期待していたのと、施設のスタッフを教育すること

で、いずれ自分も楽になるだろうと、突然の呼び出しにも喜んで対応していました。その苦労の甲斐も

あって今では患者も20人になり、A院長も漸く胸を撫で下すことができたのです。

ところが、ここから事件が始まります。ある日の訪問診療の終了後、いつもの様に施設のヘルパーさんと

カンファレンスをしていた時のことです。

 

ヘルパーB「先生、204号室の●●さんのご家族が、近所の整形外科の先生に診てもらいたいそうなんで

                    す。」

A院長  「膝の痛みを訴えていたからね。治るものでもないと思うけど、ご家族がそう言うのな

      ら・・・。紹介状を準備しておくことにするよ。」

 

A院長は内心で、一人患者が減ったことが残念でなりませんでしたが、同時に自分の勉強不足、対応不足も

否めないと反省する一面もありました。

そして、その後は一月に一人のペースで、同様に主治医の変更を伝えられます。

最初はこんなこともあるかなと考えていたのですが、3人減り5人減る頃には流石に訝しく思い始め、施設

長に問いただしてみることにしました。

 

A院長「ここのところ、主治医の変更が続いているのですが、私に何か至らない所があるんでしょうか?」

心中穏やかではありませんでしたが冷静に問いかけてみました。

 

施設長「訪問診療は患者と医療機関の個別契約なので、施設側から意見することはできないんです。先生

   にはお世話になっているのですが、こればかりは・・・・。」

 

このあと、主治医変更の真相が判明します。患者の食事のことでA院長が制限をしていた「おやつ」に対し

てヘルパーさんが異を唱えていたのです。患者はクッキーを欲しがるので、これぐらいはいいだろうと考

えているけれど、主治医からは制限されている。

たまたま他の施設に来ていた整形外科の訪問医師に相談したところ、「それくらいは、いいんじゃない」

との返事が・・・。ケアマネージャーを抱き込んで、家族にもいい先生がいるからと提案する始末。

ヘルパーさんの言葉に乗った家族が、次々と主治医を変更していったのです。

(まとめ)

訪問診療は患者との契約の上で成り立っています。

主治医を変更したい言えば、そこで契約は終了します。

今回の事件は、ヘルパーさんの讒言とも言える行為によるものですが、家族の立場になると、日常生活を

支えているヘルパーさんの意見は、時として、主治医の言葉よりも重たい場合があります。

身内を「人質」に取られている気持ちにすらなると言われています。

本稿における事件では、ヘルパーが「そそのかさなければ」起こらなかったかもしれません。

訪問診療でできることは限られているので、整形外科の医師が主治医でも日常の中では問題ないかもしれ

ません。しかし内科の専門医として、食事制限は必要であるとの判断をしているのです。

患者が欲しがる様にしていたのでは病気はよくなりません。

介護スタッフも、最低限の医療知識はあると思いますが、人によっては知識のバラつきがありますし、認

識も甘さもあります。また日常生活を支えているのは自分たちであるとの自負もあります。

こうした医療と介護のギャップを埋めていくのは、医療人である医師や看護師から情報発信し、教育して

いく必要があるのではないでしょうか。

 

メディカルタクト 代表コンサルタント  柳  尚信

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世の中に成功体験は数多くありますが、苦労話や失敗談を見聞きすることはあまりありません。クリニックの中で実際に起こった、先生方がこれから経験するかもしれないトラブル事例をエッセイ風に読みやすくまとめてみました。
成功ノウハウを真似るのは難しいですが、失敗のリスクを予見し、軽減することでクリニック経営を安定させることができます。本稿では思いがけないトラブルが連発しますが、「他山の石」として実際の経営に活かしてください。

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