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2017.11.01

Vol.2 勉強しないスタッフの罪

父親のクリニックを継承予定の A 院長は、古参の事務スタッフには辞めてもらって新規採用によるスタッフの若返りを考えていました。従前は紙カルテを使用していましたが、新体制に伴い電子カルテに切り替えるのが大きな理由です。年配のスタッフにはコンピューターの扱いが困難であろうと思われたからです。

ある日のこと、古参の事務スタッフ数人が A 院長に面談を申し入れてきました。自分たちはレセプト業務に関して絶対の自信があるので、引き続き雇用して欲しい。これまでも請求に対する返戻や減点は殆どなくレセプト事務のレベルは高いと思っている、ということです。

新規で募集をかけても、経験者の採用は難しいことが予想されたので、ここは彼女たちを尊重して継続雇用するととしました。
残念ながら新規募集ではレセプト経験者の採用ができなかったのですが、専門学校卒の若いスタッフの採用は何とかできました。経験不足は年配スタッフに補ってもらうということで、受付事務に関しては何とかなりそうでした。

先代院長時代は、内科も外科も皮膚科もなんでも診るクリニックでしたが、循環器内科が専門の A 院長になってからは検査もかなり充実した内容となっています。エコーは心臓と腹部、頸動脈、心電図に ABI。栄養士も非常勤で来てもらい予約制の栄養指導も行います。午前と午後の外来の間は、近隣の居宅を初め高齢者施設への訪問診療。忙しいながらも A 院長は充実した日常を送っていました。

「開業してよかったなあ」と、自分のやりたい診療ができるクリニックが持てたことの幸福感に浸っていました。
半年が経ち1年が経過した頃に事務部門である問題が発覚しました。
父親時代からの古参の事務スタッフの業務レベルの低さが露呈したのです。当初のお話しでは、減点も返戻も殆どないくらい精度の高い仕事をしているということでしたが、実際は知識不足によるレベルの低さにあったのです。父親時代にはなかった検査や訪問診療の請求事務は知識のブラッシュアップがないと対応しきれないところです。
古参スタッフは昔の知識にしがみついた仕事しかできず、A 院長の診療内容には到底追いついていない状況です。おまけに電子カルテの操作もぎこちなく、紙カルテ時代と同じ様に全てのレセプトをプリントアウトしてのレセチャックをしています。紙カルテから電子カルテに代わっても残業時間が減るどころか増える一方でした。
一方、実務経験はなくても勉強する習慣が身についている若手スタッフは、電子カルテに対する順応も早く、レセプトの知識も日々の勉強の甲斐もあり、古参スタッフを超えるレベルになっています。どちらがクリニックにとっての人材かは言わずもがなですね。

 

(まとめ)

レセプトの知識は絶えずブラシュアップしましょう。特に訪問診療に関する保険請求は複雑で分かりにくいものになっていますし、現場を見ていないと判断できない内容も出てきます。事務スタッフだけでなく、訪問診療に関わる医師、看護師との情報交換も必要に応じて行う様にしましょう。

最近の電子カルテはチェック機能が充実しています。最終的にアナログ作業が必要な部分も出てきますが、機能を最大限活用することで大幅な時間短縮が可能です。道具は日々進化しています。進化しないのは「人」の方です。昔の知識、手順に執着することなく、日々の勉強を怠ってはいけません。

補足ですが、電子カルテは導入時の研修で終わるのではなく、スキルアップのための研修を適宜行いましょう。ほとんどのクリニックでは電子カルテの機能の半分も使いこなせていません。弊社でも行っておりますので、これを機にご検討下さい。

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代表コンサルタント 柳 尚信

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本当は知りたい失敗談!!

世の中に成功体験は数多くありますが、苦労話や失敗談を見聞きすることはあまりありません。クリニックの中で実際に起こった、先生方がこれから経験するかもしれないトラブル事例をエッセイ風に読みやすくまとめてみました。
成功ノウハウを真似るのは難しいですが、失敗のリスクを予見し、軽減することでクリニック経営を安定させることができます。本稿では思いがけないトラブルが連発しますが、「他山の石」として実際の経営に活かしてください。

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