Vol.3 ウチのクリニックの経営は大丈夫?(3ヶ月遅れの試算表では遅すぎる意思決定)

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2017.11.01

Vol.3 ウチのクリニックの経営は大丈夫?(3ヶ月遅れの試算表では遅すぎる意思決定)

午前は外来、午後は訪問診療と分刻みの診療をこなす A 院長の毎日はめまぐるしい。
今日も診療開始前からクリニック前は長蛇の列ができ、院長の診察を希望する患者で溢れかえっています。
今日は午前中に 50 人の外来患者の診察を終わらせた後、束の間の休憩時間に食事を終わらせ、往診までの空き時間に顧問税理士との面談が入っています。

顧問税理士 「今日は、先々月の業績報告をさせて頂きます。」
A 院長   「来週はもう12月になるよ。3ケ月前の9月の報告ですか?」
顧問税理士 「事務処理に1月、その後の先生との打ち合わせ資料の作成となると、どうしても3月後くらいになってしまいます。どうかご了承下さい」

冒頭のこんな会話の後に本題に入り、収入と利益実績についての報告がされました。9 月までは前年実績並み、利益も予想の範囲内です。
この時点では会計資料は9ケ月の実績しかありませんが、11月までの収入はほぼ確定しています。今年は予想以上に寒さが厳しく、風邪ひきの患者が多かったため、外来患者も20%増、ターミナルに入っている在宅患者も3人あり、対前年を大きく上回る利益が予想されました。

顧問税理士 「消耗品など、必要なものは年内に購入してください。その他に、年末までに設備投資できるものは何かないでしょうか?」
A 院長   「ちょっと待って下さい。消耗品の購入は必要なものはしますが、在庫として残るものが出てくるから、税金に反映されるのは微々たるものではないのですか? 設備投資と言っても、年末までに納品するにはスケジュールがタイトすぎます。少し無理がありますね。」

顧問税理士 「納品できないということであれば、〇〇〇万円の納税になります。お手元に納税資金の確保をお願いします。」
A 院長   「もう少し時間があれば、もう少しマシな意思決定ができたんじゃないのですか?3ケ月遅れの試算表では意思決定が遅すぎますよね。」
顧問税理士 「・・・・・・・・・」

(まとめ)
顧問税理士の言い分として、試算表ができない理由はいくつもあったかと思います。しかしながらレセプトは翌月の 10 日までには確実に確定しています。遅くてもこのタイミングで経費がある程度?詰められていれば、その月の損益(利益)は把握できたのではないでしょうか。税理士が作成する帳票は最終的には税務申告に必要な書類であるが故に、その正確性を要求されます。しかしながら経営判断に必要なデーターは、新しければ新しいほどいいの言うまでもありません。1 円単位の精緻な計算は時間がかかりますが、万円単位であればもっと簡単に計算できるのではないでしょうか。使ったお金の合計を月末に集計できる仕組みを構築しましょう。最初は大きな費目だけでも十分です。できるところから始めていきましょう。月次決算体制(月遅れではなく、タイムリーに試算表を作成すること)が確立すれば、今回の事案の様なトラブルはなく、A 院長も計画的に設備投資計画が立てられたと思います。

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松尾会計事務所
税理士 松 尾 武 明

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本当は知りたい失敗談!!

世の中に成功体験は数多くありますが、苦労話や失敗談を見聞きすることはあまりありません。クリニックの中で実際に起こった、先生方がこれから経験するかもしれないトラブル事例をエッセイ風に読みやすくまとめてみました。
成功ノウハウを真似るのは難しいですが、失敗のリスクを予見し、軽減することでクリニック経営を安定させることができます。本稿では思いがけないトラブルが連発しますが、「他山の石」として実際の経営に活かしてください。

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