2017.11.26
クリニック奮闘記
Vol.7 社会保険に入りたいんですが・・・・
スタッフの退職に伴い募集広告を出したところ、思いのほか多くの応募がありました。
書類選考の上で数名に絞り込み、いざ面接に臨みます。
今回はパートスタッフの採用なので、こちらの希望する時間に入ってもらえるかどうかの確認が重要になってきます。
支給金額の上限としては、130万円の社会保険加入の適用を受けない範囲内と考えています。従って月当りは10万円程度(プラス交通費)ということになります。
さて面接に話を戻しますと、1名の採用が決まりました。実務的なキャリアも素晴らしく、人物的にも問題なさそうなスタッフです。当初は、月額8万円程度の所得制限の範囲内での勤務でしたが、レセプトができるスタッフが辞めてしまい、勤務日数が増えたこともあり、130万円の制限枠一杯のところまで来てしまいました。
ある日スタッフから、院長に相談が持ち込まれました。
スタッフ「このままの勤務時間が続くのであれば、社会保険に入れてもらえないでしょうか?勤務日数も増やして頂いて結構です。いっそのこと、制限を考えずに働きたいのですが・・・・。」
院長 「新たに人を入れることも考えてるので、少し返事を待ってもらえなだろうか?」
とりあえずお茶を濁した院長でしたが、心配事は、社会保険料に入ることでクリニックの負担がふえることと、正社員化することで発生するボーナスの支払いにあったのです。
誰に相談することもなく1週間が経った頃、スタッフが痺れを切らして乗り込んできました。
スタッフ「社会保険に入って頂けないのでしたら辞めさせて頂きます!」
決断のできない院長に業を煮やしたスタッフは、とうとう啖呵をきってしまいます。
ここで辞められると、また募集広告のコストも発生するし、思った人が採用できる可能性もないことから、この期になって漸く決断したのです。
社会保険の加入を初め、正社員として働いてもらいたいことを伝え、なんとか残ってもらええることになったのです。
(まとめ)
クリニックの人事の悩みの多くは採用に関することです。基本的にパート勤務が多いこともあり定着率が低いためです。正社員化することで定着率を高め、こうした人事面での不安は極力減らしたいのですが、経営者にとって人件費の増加には気を付けたいところです。
今回の事例では、正社員化することでスタッフの定着率の向上が見受けられること、やる気も期待できることから、コストよりも安心を取った結果となりました。
クリニックの院長は、診療に専念できる環境を如何に作り出すかが、経営上の至上命題になってくるのですが、ときにはコストを払っても環境作りを優先した方がいい場合もあると思います。
メディカルタクト
代表コンサルタント 柳 尚信