Vol.14 医療機器の導入はリースがいいの？

開業時に中古リースで購入したエコーの調子が悪く、メンテナンス費用がかさむ様になってきたこともあり、A院長は買換えを検討しています。

メーカーからは500万円（税込）の見積もりが出ています。

高い買い物ではありますが、どうしても必要なものなので思い切って購入することにしました。手元の現金で購入するつもりでしたが、メーカーはリースを勧めてきます。

理由としては、以下の3点を強調されます。

①故障したときに代替機で対応できる

②動産保険に加入しなくていい

③リース契約満了時には新しい器機に交換できる

 

この時、A院長は次の様なことを考えていました。

「確かに故障したときに代替機で直ぐに対応してもらえるのは心強い。でも動産保険はそもそもリース料に含まれているし、契約満了時に新

  しい器機に交換と言っても、新しくリース契約するだけの話なのでメリットとは言えないのではとないか。」

これ以外にもキャッシュフローの点で気になることもあったので、顧問税理士に相談することにしました。

 

A院長「現金で購入しようと思ったのですが、リースと比べてキャッシュフローの観点からはどちらが有利なのですか？」

税理士「サービス面でも考慮すべきですが、お尋ねのキャッシュフローの観点から考えてみましょう。」

            「5年という耐用年数の中で考えますと、キャッシュフローの観点からは現金で購入するのが一番有利になります。銀行借り入れの場合

               は支払金利が発生しますし、リースの場合はリース会社への手数料相当分の支払が発生しますので、当然の結果と言えます。」

 

以下、表を参照

◆現金で購入する場合
1年目　2年目　3年目　4年目　5年目
利益 1,000 1,000 1,000 1,000 1,000
減価償却 100 100 100 100 100
利益（再計） 900 900 900 900 900
税金 270 270 270 270 270
減価償却 100 100 100 100 100
現金支払 500 0 0 0 0
資金残高 230 230 230 230 230
※5年間のキャッシュフロー（CF）合計3,150


◆借入で購入する場合
1年目　2年目　3年目　4年目　5年目
利益 1,000 1,000 1,000 1,000 1,000
減価償却 100 100 100 100 100
金利 10 10 10 10 10
利益（再計） 890 890 890 890 890
税金 267 267 267 267 267
元金返済 100 100 100 100 100
減価償却 100 100 100 100 100
資金残高 623 623 623 623 623
※5年間のキャッシュフロー（CF）合計3,115


◆リースで取得する場合
1年目　2年目　3年目　4年目　5年目
利益 1,000 1,000 1,000 1,000 1,000
リース料 150 150 150 150 150
利益（再計） 850 850 850 850 850
税金 255 255 255 255 255
資金残高 595 595 595 595 595
※5年間のキャッシュフロー（CF）合計2,975

 

 

（まとめ）

　キャッシュフロー（CF）の観点からは１．現金購入　２．借入による取得　３．リースによる取得の順番になるのですが、実務の中ではそれぞれのメリットデメリットを考慮して意思決定する必要があります。

現金購入の場合は手元の資金が減少することになりますので、十分な資金が確保されていることが前提です。

従って、借入かリースというのが一般的な選択になります。大きな違いはリースの場合は所有権がリース会社にあるため、メンテナンスがリース会社任せにできるということです。

また費用はかかりますが、毎月の支払が一定で全額経費になることから資金繰りを考える上でシンプルであると言えます。

以上の様に①キャッシュフロー②アフターサービスの内容、の2点を考慮の上で意思決定してください。　

 

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　                                                                                 　　　メディカルタクト

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　                                                                                　　　　代表コンサルタント　　柳　　尚信