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2017.11.27

Vol.18 どうする差別化戦略?

 先日のセミナーでは、「他のクリニックとの差別化を考えましょう!」と、クリニックの独自性を出すことが生き残り戦略であると聞かされたA院長は、あれ以来、答えが出せないまま思考停止状態である。

「講師の先生は独自性を出すことで、他のクリニックとの差別化を図ろうと言っていたけ ど、そもそもクリニックで、どうやって独自性を出せばいいのだろうか?」

「クリニックで差別化戦略なんて、ちょっと無責任な気がするんだけどなぁ。」

 

このA院長の考えは、もっともなご意見です。クリニックだけでなく企業においても

「差別化戦略」となると、どこから手を付けてよいのか分からないのが普通なのです。

クリニックの場合、日々の業務は診療ガイドラインに乗っ取って行われるので、そこに対して差別化することは難しい様に思えます。

一昔前までは、美容・アンチエイジングなど、自費診療の領域に広げていくことで他のクリニックとの差別化ができた時代もありましたが、今となってはそれも陳腐化したサービスとなりました。価格における差別化も保険診療の場合は出来ませんし、自費診療においても商品価値を下げるだけの低価格戦略は体力を削がれるだけです。

そう考えると、医療経営における「差別化戦略」は一見、意味のないものになってしまいますが果たしてそうでしょうか?

地域で混雑しているクリニックを見てみましょう。

 

院長先生の個人的なスキルによるものは考慮せずに、その他の要因にフォーカスして観察してみましょう。

クリニック独自の工夫が見えてくるはずです。

 

整形外科、耳鼻科、皮膚科クリニックでは、多くの患者を診なければなりません。こんな視点で工夫されています。

・待ち時間の短縮あるいは、時間を感じさせない

・受付スタッフや看護師で対応できることは、思い切ってスタッフに任せてしまい、診察時間を濃密にする

・初診の事前問診は看護師が行う

・リハビリの施術は、患者の入れ替えがスムーズになる様にベッドや機器を配置

・待ち時間が発生し院外で待っていただく場合には、おおよその時間を伝える

 

内科や眼科における検査の工程管理でも工夫がみられます

・初診患者の定型的な検査は、再診患者と動線を分けて院長の診察時間に干渉させない

・定期的な検査については、診察開始前に済ませておく

・次回の検査や処置等の内容を電子カルテで共有し、受付看護師等でも情報共有する。重要項目については、朝礼等で内容確認を重ねて行う

 

以上のことは診療に直結することなので取り組むイメージが湧きやすいのではないでしょうか。

具体的な施策(業務フロー)はクリニックごとに異なるとは思いますが、参考にしてみて下さい

 

この他にも、院内報の定期発行や患者会の主催により啓蒙活動を行うのもいいでしょう。

毎朝、朝礼を行って申し送りや診療理念を唱和することもお勧め致します。

ただしこれらは、一時的なものではなく継続できるか否かが「差別化」のポイントになります。

多くの先生は、やった方がいいのは分かっておられますが、日常の忙しさの為に継続させるパワーが出せません。

実は、この簡単にできることが一番の差別化なのです。

看護師をはじめ受付スタッフも仕事の処理に関してはプロフェッショナルです。仕事の質で差が出るのは本の僅かなのです。

それよりも、当たり前のことを当たり前にできるクリニックであること、そして院長の考えを理解した上で、

親身になって患者に向き合うことができるスタッフが一人でも増えることが大切ではないでしょうか。

  

(まとめ)

「差別化戦略」を考えるとき、ダイナミックで、システマティックなことをイメージしがちです。

当然システム的に行うべきものもありますが、それを運営するのは院長はじめスタッフです。

そして対象としてるのは患者であり全て「ヒト」なのです。

AIが進むと様子が変わるのかもしれませんが、現在の医療は「ヒト」の介在なしでは成し得ません。

先のコラムでは「経営理念(診療理念)」の重要性についてお話し致しましたが、本稿での「差別化戦略」にも繋がる重要な内容です。

今一度、読み返して頂けると一層の理解が深まるのではないかと思います。

 

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                                        代表コンサルタント  柳  尚信

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本当は知りたい失敗談!!

世の中に成功体験は数多くありますが、苦労話や失敗談を見聞きすることはあまりありません。クリニックの中で実際に起こった、先生方がこれから経験するかもしれないトラブル事例をエッセイ風に読みやすくまとめてみました。
成功ノウハウを真似るのは難しいですが、失敗のリスクを予見し、軽減することでクリニック経営を安定させることができます。本稿では思いがけないトラブルが連発しますが、「他山の石」として実際の経営に活かしてください。

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