2017.11.29
クリニック奮闘記
Vol.20 頑張れ!って言うけれど、何をどう頑張るの?
Aクリニックでは、3か年の事業計画を作成して第1期が終了しました。
何とか1期目は計画を上回わることができ、2期目に予定している設備投資の資金の確保とスタッフの昇給原資、それから10周年を記念してグアムでの慰安旅行の旅費が全て確保できたのです。
計画を立てていなければ、目標をクリアーすることもできなかったであろうし、余裕を持って来期を迎えることもできなかったと思うと、その達成感は気持ちのいいものでした。
今日は、顧問税理士と2期目の事業計画の行動計画について打合せを行います。
A院長 「今期は患者数を増やすことに注力して、ホームページのSEO対策と待ち時間対策に力を入れてきたけど、来期はこれを維持しなが
ら更に増収していかないといけないですね。」
税理士 「そうですね。新たな施策が必要ですね。今期目標を達成するために、一日平均5人の増患が必要です。どうすれば達成できるか具
体的に考えてみて下さい。行動計画が描ければ目標は達成できます。頑張って下さい!」
A院長 「はぁ・・・が、頑張ります。」
この時、A院長はどうすればいいのか全くの無策でした。税理士から頑張って下さいと言われたものの、どうしていいのかわかりません。「頑張れ!」とはこんなに無責任な言葉なのかと歯噛みする思いです。
(まとめ)
事業計画達成のために具体的な行動計画を考える前に、現状分析をしてみましょう。
電子カルテからは様々なデータを抽出することができます。
紙カルテ時代では、何日もかけて手計算で集計していたことが数十秒で集計されて出てきます。
まずは自院の経営データを時系列にまとめることで、傾向を読み解きましょう。
他のクリニックと比較しての良し悪しではなく、クリニックの特徴を読み解いていくのです。
基本的なデータとしては①レセプト単価 ②来院回数 ③診療単価の3つがあります。
更に診療収入を行為別に分解したデータも抽出してみましょう。
メーカーによってフォーマットは若干異なりますが、大まかには①診察料 ②医学管理料 ③在宅医療 ④処置 ⑤検査 ⑥手術 ⑦処置 ⑧処方 となっています。
これらのデータは、結果の良し悪しを云々するのではなく、未来の行動を変えるための数値(データ)として利用していきましょう。
診療行為別集計表からは、クリニックの収益の柱が何であるか? 利益の源泉が何処にあるのか?
この2点を明らかにすることができます。経営資源を投入するポイントを明確にすることで、効率よく経営を改善くことができます。
「頑張って下さい!」と言われても困ってしまいますが、上記の2点を明確にすることで頑張るポイントも見えてくるはずです。
その上で、患者に求められている医療を念頭に置きながら、必要な医療サービスを適切に提供していくことが行動指針としてあるべき姿ではないでしょうか。
メディカルタクト
代表コンサルタント 柳 尚信