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2017.11.30

Vol.21 残業したくないスタッフの対応

今日も大忙しのAクリニック。午後診の患者だけで40人を超えそうな勢いです。

定時は19時ですが今日も20時を過ぎようとしています。

 

スタッフA 「今日も遅くなったね。」

スタッフB 「毎日こんなに忙しいと体がもたないね」

A院長   「皆さん、お疲れ様でした。今日も遅くまで有難う。気を付けて帰って下さい。」

 

こんなやりとりが毎日行われています。ギリギリの人数で業務を行っているため、スタッフの体力面が気になっていたA院長ではありますが、繁忙期が終われば早く帰れるからと、スタッフを鼓舞して何とか乗り切りたいところです。

 年の瀬の声も聞こえ始め、気忙しくなる12月。

風邪が流行り、体調を崩す人も多い時期にも関わらず最近は患者数が少なくなってきました。

 

A院長   「今日も早く終わりそうだね。12月なのに患者も少なくなってるね。今年はどうしたんだろう

                         か?」

スタッフA 「皆さん忙しいんじゃないですか。」

 

A院長は、それ以上の追求はここではしませんでしたが、原因がスタッフにあることは薄々感じています。

 

ある日のこと。午後診が始まり、今日もいつも通りクリニックは患者で溢れかえっています。

A院長は、今日こそはと思い、受付時間が終了する少し前から受付の様子をカルテパス越しに伺ってます。

 

患者    「初診なんですが、風邪気味なので診察をお願いしたいのですが。」

スタッフB 「只今、大変混雑しております。受付人数が既にいっぱいなので、明日お越し頂けますか?」

 

何と、受付スタッフが患者を断っているではありませんか。

A院長は午後診が速く終わる原因をとうとう突き止めました。

診療後にスタッフを呼び集め、事実関係の把握と改善提案という形で話し合いをすることにしました。

 

A院長   「毎日帰宅が遅くなって申し訳ない。何の手立てもしていない私の責任です。」

       「しかし、体調を悪くしている患者を受付で断るのは別の問題です。」

      「明日からは断らない様にして下さい。受付時間後に来院された方についても、院長である私

                        に確認をしてから対応する様にして下さい。」

 

スタッフは不満そうでしたが、院長の指示なので従わなければなりません

この日を最後に受付で患者を断ることはなくなりましたし、時間外の患者の対応も院長判断で対応する様

になりました。その結果、以前の様に患者は戻りましたが、スタッフは帰宅時間が遅いままです。

 

(まとめ)

早く帰りたいあまり、受付時に断る様な対応をするスタッフ心理は理解できます。

仕事にも慣れ患者の顔が見えてくる頃になると、この様なことが起こりがちです。

まず当たり前ですが、来院した患者は正当な理由なく断ることはできません。

時間内であれば診察する義務が医師にはあるからです。

 

次にスタッフのケアですが、残業手当を割増賃金として支払わなければなりませんが、来院人数によっては「大入り袋」を出したり、賞与や昇給時に評価してあげることも必要です。

その場合、評価している部分(遅くまで残業してもらっていること)を説明した上で支給する様にして下さい。

注意すべきは賃金で不満足が解消されないケースです。

クリニックのパートでは、家庭の主婦が多く、夕ご飯の準備や子供の世話のために早めに帰宅したいスタッフもいます。

各人の家庭環境等を考慮し、できる限り対応してあげるようにしましょう。

代わりに入るスタッフについては時間単価を高くして報いてあげるなどの施策もいいでしょう。

新規に採用するコストに比べると安く済むはずです。

 

給料を上げることでスタッフの不満は一時的には解消されます。

しかし不満足要因が解消されたからといって「満足度」が上がることはありません。

大切なことは仕事に対するモチベーションや、働きやすい職場環境を整備することの方にあります。

お金も大切ですが、スタッフとの関係にギャップが出ない様に、スタッフとの日頃の会話を絶やさない様に心掛けて下さい。

              

                             メディカルタクト

                             代表コンサルタント  柳  尚信

 

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本当は知りたい失敗談!!

世の中に成功体験は数多くありますが、苦労話や失敗談を見聞きすることはあまりありません。クリニックの中で実際に起こった、先生方がこれから経験するかもしれないトラブル事例をエッセイ風に読みやすくまとめてみました。
成功ノウハウを真似るのは難しいですが、失敗のリスクを予見し、軽減することでクリニック経営を安定させることができます。本稿では思いがけないトラブルが連発しますが、「他山の石」として実際の経営に活かしてください。

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