2017.12.04
クリニック奮闘記
Vol.23 年末調整トラブル「休ませてください」
本日はクリニックでよくある風景のお話しです。
パートスタッフが多いクリニックでは年収制限があるため、時間調整を強いられることがよくあります。
扶養控除の範囲内である103万円と、社会保険の加入要件の1つになっている130万円の2段階です。
雇用前に労使双方で確認の上で勤務しているはずなのですが、年末近くになると基準オーバーにならない様に休みをとるスタッフが増えてくるという現実に直面します。
ギリギリの人員で運営しているので、繁忙期に残業が発生することで予定している時間をオーバーしてしまうのですが、上手くコントロールする方法はないのでしょうか?
毎年のことではあるのですが、一向に改善されない現場のやり取りにA院長は辟易している様子です。
スタッフ「院長、103万円を超えそうなので12月の勤務は半分にして欲しいのですが。」
A院長 「えー。一番の繁忙期にそれは困るよ。何とかできないかな?」
スタッフ「収入がオーバーすると、主人の会社は扶養手当が減らされるんです。」
最終的に選択肢がないと分かったA院長は、急遽、紹介会社を通じて人員を補充し何とか乗り切ることができましたが、来年も同じことが起こるのかと考えると楽観視できる状況ではありませんでした。
(まとめ)
スタッフは、ある程度の残業時間を見積もり考慮して、毎月の勤務を決めていると思いますが、年末にこうした事態になるのは「見込み」の甘さによるものだけではありません。
スタッフには収入制限ギリギリまで稼ぎたいとう心理が働いています。
また休むことで他のスタッフにシワ寄せがいくのですが、院長が何とかしてくれるだろうと考え、安易に休むことを選んでしまうのです。
対策としては、院長自らで勤務時間を管理する方法があります。
・毎月の勤務シフトについては院長が最終決裁する様にすること。
・ダラダラ残業をさせないため終了時間は院長が宣言すること。
あるいは、スタッフに100%委譲し、自己責任の中で勤務させること。この場合、毎月の最低勤務日数を決めておくことで、シフトに穴が空かない様にします。
年収制限だけでなく、急な事情で休むこともありますので、少しの余剰人員は許容すべきではないでしょうか。一人当たり年間100万円のコストは、先生がこうしたストレスから解放される保険として、また現場スタッフが疲弊しない様にするためにも必要なものではないでしょうか。
メディカルタクト
代表コンサルタント 柳 尚信