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2017.12.13

Vol.30 業者のこないクリニック

ビジネスには、いろんな人との交流が不可欠です。

商品(サービス)を購入してくれるお客さん、仕入れ業者、資金支援をしてくれる金融機関、更には国や地方公共団体なども含まれます。

もちろん一番身近であるスタッフも忘れてはなりませ。

社会のコミュニティの中で営業し生きていくためには、これらの利害関係者?と共存共栄していかなければなりません。

自分だけがよければいい、という考え方の前には成し得ません。

クリニックも同様です。先生方のクリニックには、いろんな業者が日々訪ねてくるかと思います。

担当者の顔を思い浮かべながら、どんな業種の人が関わっているのかを紙に書き出してみて下さい。

来なくなると困る人もいるのではないでしょうか?

本稿では、人の寄り付かなくなったクリニックのお話しをしたいと思います。

 

駅前に競合クリニックができてから患者が激減しているB婦人科クリニック。

差別化を図るためにも新しい器機の導入を検討しています。

待合室の一角に処置室を造作し、美容レーザーを導入しようと考えています。

ターゲットの年齢層は40歳から50歳代でシミ取りをメインに売り出そうというものです。

まずは機械の選定のためレーザー機器のメーカーと商談です。

 

B院長 「他社メーカーでは、●●●万円だから、その金額くらいまで値引きしてほしいんだけど」

メーカー「他社の機種は、弊社のよりスペックが劣ります。同等の金額はちょっと・・・。」

 

押し出しの強いB院長でしたので、メーカー担当者は受け入れざるを得ない状況に追い込まれました。

更にはメンテナンス契約の内容についても減らされ、メーカーとしては商売にならない取引だったのではないでしょうか。

メーカー担当者の内心は、「何とか赤字にはならない金額だけど、満足にメンテナンスもできない状況での取引は、先生にも不便をかけることになるんだけどなぁ」

次は処置室の改装工事業者との折衝です。

こちらも仕様はさておき、最初に金額ありきの商談です。

業者の提案は却下され100万円減額の対案で妥結しました。

こんな感じで、取引き業者には、容赦のない金額交渉を要求していきます

他には医薬品の卸業者、血液検査会社、会計事務所の顧問料もディスカウントの対象になったのです。

患者が激減しているので背に腹は代えられない状況ではありますが、「安かろう、悪かろう」でないことを祈るばかりです。

その後、取引業者は、B婦人科クリニックから足が遠のいた様で、訪問回数が毎日から週3日になり、1日になり、そして、とうとう電話しなければ来ない状況にまでなってしまったのです。

そんな状況になった本当の原因をB院長は知る由もなく、疎遠になった業者の悪口を、今日もスタッフに愚痴っています。

 

(まとめ)

その場限りの取引であれば、ギリギリの金額交渉には意味があるかもしれません。

住宅購入の場合でも、修繕や改装ニーズに応えるべくアフターフォローを考えて販売しています。

医療機器に関しては、更に細かいメンテナンスが要求されますので、購入後のメーカーや販社の協力なしでは使用に耐えません。

メンテナンス契約でフォローする場合もありますが、けいやくが無くても、買換えを期待してアフターフォローするのが営業マンです。し

かしながら初回の販売で商売にならなければ、次第に足が遠のいてしまうものです。

価格交渉もせずに適正価格以上で購入するのは愚の骨頂ですが、営業マンのやる気を削ぐ金額交渉も得策ではありません。

相手も商売で臨んでいます。本業で利がある相手には、色んなサービスをしたいと思うのが人情です。

商品だけが目的であればネットで購入することができる時代です。

対面販売を利用するのであれば、相手心理も考えながら商談しましょう。

業者が寄り付くことで情報も集まります。見えない付加価値サービスにも目を向けてみて下さい。

  

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                                      代表コンサルタント  柳  尚信

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本当は知りたい失敗談!!

世の中に成功体験は数多くありますが、苦労話や失敗談を見聞きすることはあまりありません。クリニックの中で実際に起こった、先生方がこれから経験するかもしれないトラブル事例をエッセイ風に読みやすくまとめてみました。
成功ノウハウを真似るのは難しいですが、失敗のリスクを予見し、軽減することでクリニック経営を安定させることができます。本稿では思いがけないトラブルが連発しますが、「他山の石」として実際の経営に活かしてください。

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