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2017.12.14

Vol.31 予約システムで大パニック!!

来院患者の多いクリニックでは、待ち時間対策は必須項目となっています。

番号札をお渡しするなどアナログによる時間管理もありますが、本稿では、一般的な予約システムによる待ち時間対策をご紹介します。

このシステムも完璧なものではなく、結局のところ運用面では人の判断が入る余地が残されています。

システム運用で上手くいった部分ではなく、上手くいかなかった部分にフォーカスを当てて、話を進めていきたいと思います。

 

耳鼻科のCクリニックでは、毎日200人を超す来院患者で待合室が一杯です。

アレルギーのシーズンだからということもありますが、広くはない待合室で1時間以上の待ち時間を患者に強いることに、院長は心苦しく感じています。

友人の勧めもあり、そんな状況を打開すべく、予約システムの導入を決めたC院長は、新システム導入に期待が膨らんでいます。

メーカーとの打ち合わせで、基本的には順番予約制にしますが、検査等が必要な患者については時間予約制とし、両者を併用して運用することにしました。

9時の診察開始1時間前からネットで予約を受付けていますが、診察開始時には既に100人の順番予約が入っており、予約なしの患者も受付に押し寄せている状態です。

運用初日でスタッフも慣れおらず受付はパニック状態です。

1時間前から待っていた高齢の患者は、一番に診察してもらえないことに不満を漏らしてます。

また逆に予約してきたにも関わらず、順番を抜かされた患者からのクレームも発生しています。

暫くして混乱は落ち着きましたが、待合室には不満を抱えた患者で溢れかえっています。

 

C院長「予約システムを入れても、これじゃ以前よりもひどいなぁ。クレームも多いし。」

 この間にもネットからは順番取りの予約が絶えず入って来ています。

その様子をパソコンでモニターしているスタッフは、どう対応していいか分からず青ざめるばかりです。受付では、もはや時間管理ができていないため、診察までの待ち時間の目安も伝えることができなくなっています。

午前の診療終了時間の頃、予約システムには、受付前の予約患者が、まだ30人程残っています。

システムのことを知らずに時間ギリギリに来院してきた患者は、その様子を聞いて診察を諦めて帰ってしまいました。

結局のところ、残りの30人の予約患者は来院することはなく、診るべき患者も帰らせてしまいました

 

(まとめ)

予約システムのいいところは、診察する患者の上限を設定し、受付状況をコントロールできるところにあります。

本稿の失敗を踏み台に、上手く運用するためにはどうすればいいか考えてみましょう。

まず、一時間の予約受け入れ患者の上限を決めます。完全予約制でなければ、アポなしの患者用の受付枠が必要です。

導入当初はシステム予約よりも、突然来院される患者の方が多いと予測できますので、予約枠としては5人程度に設定し窓口対応中心の対応とします。

受付スタッフが不慣れである事も考慮し、アナログの部分を多く残しておきます。

スタッフの練度が上がるのを確認しつつ、患者の認知度向上に合わせて予約枠は拡大していきます。

システム運用が軌道に乗れば、飛込患者を間に潜り込ませることもできる様になってきます。

また予約時間枠を制限して、フリーアクセスで来院できる時間を設定することも有効です。

事例の様に予約だけして来院されない患者も一定数出てきますが、窓口での受付時間終了までに来院がない場合は予約に無効すればいいでしょう。

検査等の時間予約の場合は、予約時刻が「受付時刻」なのか、「検査開始時刻」なのかを明確に伝えて下さい。

医療機関側の認識としては「検査開始時刻」が一般的であるが、患者は「受付時刻」と認識しているケースも少なくありません。

せっかく準備して待っているのに、遅れて来院されて段取りが狂ってしまっては、予約の意味がなくなってしまいます。

くどい位に伝えて丁度いいと思います。

 

 

 

                          メディカルタクト

                          代表コンサルタント  柳  尚信

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世の中に成功体験は数多くありますが、苦労話や失敗談を見聞きすることはあまりありません。クリニックの中で実際に起こった、先生方がこれから経験するかもしれないトラブル事例をエッセイ風に読みやすくまとめてみました。
成功ノウハウを真似るのは難しいですが、失敗のリスクを予見し、軽減することでクリニック経営を安定させることができます。本稿では思いがけないトラブルが連発しますが、「他山の石」として実際の経営に活かしてください。

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