2017.12.15
Vol.32 アルバイト医師の蜂起！
経営者である院長と、そこで働くスタッフの間には、仕事や給料に対して、考え方に大きなギャップがあ
ります。
院長（経営者）の考えをスタッフに理解させるのは難しいですが、スタッフの気持ちを汲んだ経営を目指
すのは院長（経営者）の務めです。
本稿では、院長の経営方針を巡って、アルバイト医師と看護師が反旗をひる返します。
さて、どちらに軍配があがるのか、クリニックでのやり取りを見てみましょう。
週に２日は出身大学の附属病院からC先生がバイトで診察に来ています。
勤め始めて3年になりますが、クリニックにもすっかり馴染んでスタッフからも信頼されています。
ある日、C先生に看護師のB子が愚痴をこぼしています。
B子 「院長もC先生みたいに患者をたくさん診察してくれたら、私の給料も上がるのに。診察時間が長す
ぎるんですよ」
C先生「院長の診察スタイルだからね。僕はたくさん診察することで給料が増えるからね。
B子さんには、いつも助けてもらってるから、院長に掛け合ってあげよう！」
B子 「先生、宜しくお願いします！」
事もあろうかバイト先の院長に、スタッフの給料を上げてくれと交渉に行くC先生。
この後、院長にお叱りを受けたことは想像に難くありませんが、これからどうなるのでしょうか。
スタッフミーティングの中で院長が方針発表をします。
院長 「給料に不満があるスタッフもいると思いますが、クリニックの規則の中でできる限りのことはさ
せてもらっていると思う。」
「決して多くはないかもしれないが、クリニックの賃金相場は確保しているはずです」
まず現状の給与体系が世間相場から外れていないこと、賃金規定の中でルールに乗取って評価しているこ
とを宣言。
院長 「不満に思うのは、私の説明不足でした。今後は、ここにあるキャリアプランに沿って、頑張って
くれた人には更に評価を加えたいと思う」
院長は、看護師だけでなく、事務スタッフに対してもキャリアプランを提示し、個々人の頑張りを評価す
る仕組みを提案したのです。
これはスタッフの不満を逆手に取った絶妙な作戦です。
目標ができたことによって、不満が前向きな気持ちに変わったスタッフ達の顔色は輝いています。
（まとめ）
バイト医師が先陣切って、院長に物申した事例です。
ウソの様な話ですが、不満を逆手に取ってキャリプランを提案した院長の采配には、あっぱれです。
経営者とスタッフは立場も違えば、考え方も違います。
クリニックの経営に関しても、持っている情報量にも、その質においても差があります。
医師が頂点の医療の世界でも、経営の世界では頂点ではないのです。C
先生は医師としては優秀かもしれませんが、経営に関して院長に物申せる程、情報量も経営スキルも持ち
合わせてはいないのです。
その点において看護師の代弁者として矢面に立ったのは失策と言えます。
経営者の考え方はスタッフには、なかなか伝わっていきません。
診療理念とは言いませんが、医師として、経営者として夢を語り、自分の目指すところの話など、先生方
の根っこの部分を話す様にしてしてください。
クリニックも立派な組織です。組織には「大義」と「御旗」が必要です。言葉にできる様に考えてみては
如何でしょうか。
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