2017.12.12
クリニック奮闘記
Vol.29 スタッフの離職が止まらない!
院長にとってクリニックの人事問題は、悩みの尽きないテーマの一つです。
これまでにもスタッフに関する諸問題をご紹介してきましたが、本稿ではスタッフの離職に関するテーマを取り扱います。
採用、補充してもすぐに辞めてしまう。
やがて求人広告誌の常連となっていくクリニックの切実な問題をご紹介してまいります。
院長A 「仕事中、私語はしないようにね」
「受付の机の上が汚れているから、綺麗に掃除しておいてください」
「仕事が終わったらすぐにタイムカードの打刻をして下さい」
スタッフ「・・・・・・」
スタッフの言動について事細かく注意を促す院長は、口うるさくても、言うべきことはしっかり言うことがスタッフ教育には必要であると考えています。
こちらでは40歳代が中心のパートスタッフが働いていますが、これまでの職歴も多様で仕事の仕方も人それぞれです。
そんなスタッフをまとめていくためには、Aクリニックとしてのルール、職場環境を熟成させることが必要であるとの持論です。
そんなA院長の指導についていけるスタッフは一握りで、ほとんどは1月ともたずに辞めていきます。
補充のための求人広告は、ほぼ毎月の掲載で、今や広告掲載の常連として知られる様になりました。
今回の求人は応募が全くないため、今後の運営についてスタッフとミーティングをすることにしました。
A院長 「スタッフの応募がないので、皆さんには迷惑をかけます」
「暫くは少ない人数で頑張っていきたいと思いますので協力して下さい」
スタッフ 「院長、医療事務でパートを探している友人がいるのですが・・・」
A院長 「有難う。面接をしたいので紹介してもらえるかな」
スタッフ 「少しご相談があるのですが・・・。すぐに辞める様なことになると嫌なので。」
A院長 「わかった。長く勤めてもらえる様に考えよう」
スタッフから相談された内容は、離職が止まらないのは、想像通り、院長の細かすぎる指導にあるので、現場の教育は任せて欲しいというものでした。
見方を変えると上司批判と捉えられる様な意見具申ですが、スタッフの勇気を感じ取ったA院長は、新人スタッフの教育は先輩スタッフがするという提案を受け入れることにしました。
(まとめ)
スタッフの離職率が高い職場の問題として、本稿ではA院長(経営者)に原因がある場合を取り上げましたが、スタッフ間のいじめによる場合もあります。
一般的に院長と事務との関係は、看護師との関係よりも希薄であることが多く、受付で起こっていることは院長が把握しにくく問題が発覚しにくいのです。
定期的な個別面談もいいかもしれませんが、院長先生からスタッフに声を掛ける気配りをしましょう。
看護師は医師との関係性に慣れていますが、事務スタッフの場合は気おくれします。
話しやすい関係性を築くことで、お互いの信頼感も増していきます。
本稿の様に院長の直接指導は必要ですが、行き過ぎない様にする必要はあります。
患者に関係することは直接に、現場での細かい指導はスタッフ間で注意し合うことで距離感を保ちます。
コミュニケーションの方法に絶対的な解答はありません。
「なだめて」「すかして」「ほめて」「しかって」、苦労の連続ですが、スタッフへの注意しながら自分にも問い掛ける気持ちを大切にして下さい。
メディカルタクト
代表コンサルタント 柳 尚信
※労務問題バックナンバー
Vol.1給料アップを要求するスタッフに、応じられない院長
https://medical-takt.com/backnumber/2017/report13.html
Vol.2勉強しないスタッフの罪
https://medical-takt.com/backnumber/2017/report14.html
Vol.4求人広告に診療時間を記載
https://medical-takt.com/backnumber/2017/report38.html
Vol.5採用決定後の面接での出来事
https://medical-takt.com/backnumber/2017/report39.html
Vol.6前職の病院からスタッフを引き抜き