2018.01.05
クリニック奮闘記
Vol.44 患者アンケートの必要性、不満のある人は答えない
ホテルや飲食店など、顧客満足度を調査する手法としてアンケートが利用されています。
テーブルに置かれたアンケート用紙に記入して店員さんに渡すと、割引券や優待券がもらえる様になって
います。アンケートの件数を増やすために、こうした手法が使われています。
クリニックでも同様のアンケート調査を行うことがありますが、質問内容や実施方法を工夫しなければ、
使えないデータになってしまいます。
何のためにアンケート調査を行うのか?
質問内容をどの様に表現するのか? 求める結果を得るためには想像力も必要とされます。
今回は、広告代理店の提案を受けて患者アンケートを行ったAクリニックのお話しです。
A院長 「アンケート結果の集計を見てみると、優秀なクリニックみたいだね。」
広告代理店「先生の親身になった診察は評判ですが、それに加えてスタッフの対応も素晴らしいというこ
とですよ。よかったですね。これからも頑張って下さい!」
この様にアンケートの内容を見てみると患者の満足度はかなり高い様です。
A院長の胸の内は、「本当に皆さん満足しているのだろうか? 来なくなった患者はどうしているんだろう
か?」と、穏やかではありません。
「もう一度、やり方を変えて患者さんに聞いてみよう。」A院長はそう考え、アンケート手法を検討するこ
とにしました。前回の質問では満足度を4段階で評価するというものでした。
その結果、満足なのか不満足なのかという傾向は掴めましたが、何に満足しているのか、逆に不満足の要
因が何であるかまでは追求できていませんでした。
その失敗を踏まえて、時間と労力は掛かりますが、スタッフが患者に直接ヒアリングすることにしたので
す。内容も「不満に思っていること」の拾い上げです。
スタッフ「●●さん、待ち時間がいつも長くてごめんなさいね。1時間位、お待ち頂く事がありますが、お
尻や腰が痛くなりませんか?」
患者 「そりゃ、しんどい時もありますよ。クッションが柔らかいし、この椅子は私には低いから、立
ち上がるときも辛いですよ。それにね・・・・・、」
こんな感じで世間話の様にフランクな口調にすることで、患者も思っていることが口から出てきます。
それ程不満に思っている訳ではないのですが、「ちょっと、気になっている」ことなんです。
不満に思っていることではないので、色んなことを話してもらえます。
サンプル数は少ないですが、生の声を現場に反映することができたため、A院長は少しではありますが、改
善の実感が湧いたのです。
(まとめ)
アンケート形式を採用する場合、手間をかけずにデータ収集する必要があるため、項目は具体的にしなけ
ればなりません。また結果を誘導する質問内容にならない様に配慮も必要です。
質問項目をレベルで回答させるのであれば、回収したデータを現場での改善に役立つ様に数値できなけれ
ば意味がありません。
「待ち時間が長いと感じますか?」という質問に対して1~4で評価するとします。
出てきた結果を数値化しても待ち時間が長いと感じる人が多数を占めるのか、待ち時間は少ないと感じる
人が多数を占めるのかがわかる位で、具体的な指標は何も出てきません。
そこで、「待ち時間の過ごし方について」という質問に変えてみます。
回答項目には、1.雑誌(具体的に読みたい本は?)2.テレビで好きな番組は?(番組名やドラマなど)
3.子供向けビデオで見たいもの(ビデオタイトル)
また、携帯で時間を潰す人が多いのであれば、ipadを貸出しやWiFi環境を整えることも検討できます。
サンプリング数が多いことがいいのでありません。
少ないデータでも意味のあるアンケートになる様に工夫してみて下さい。
メディカルタクト 代表コンサルタント 柳 尚信
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