Vol.45　一番大きな支払いは何？「答えは税金」

新しい年を迎え、今年の目標に向けて仕事に打ち込むサラリーマンは多いかと思います。

しかしながらクリニックの先生方は、仕事を頑張るのは当たり前で、更に「経営」ということも考えてい

かなければなりません。特にこの時期は個人事業所であれば確定申告という年一回のイベントがあり、否

が応でも「税金」というものを意識せざるを得ません。

そしてこの税金は、事業上のどんな費目（出費）よりも一科目の支出額が大きいという代物です。

しかも経費ではなく可処分所得からの支払いです。

借入金の返済や貯蓄をするためには、「納税」できる程の所得金額がなければなりませんが、さりとて少

ないに越したことはありません。

納税が差し迫ったこの時期によくある風景を、Aクリニックの院長と顧問税理士の会話を通じてご紹介して

いきます。

 

A院長「今年も1000万円以上の納税になるんだね。住民税や所得税の予定納税を考えるとどれだけ国に貢献

              していることか。」

税理士「先生、それに加えて今年は消費税の納税もあります。一昨年の自費収入が1000万円を超えていま

             すので、今年から納税義務者なんです。それと事業税というのもあります。」

　　　「保険診療には自費は掛かりませんが、自費診療にかかる全ての収入に対して消費税を納めなくて

             はいけません。事業税も一定の免税額はありますが自費収入に対して課税されるんです。」

A院長「これ以上、まだ納税するの？税金貧乏になりそうだよ。」

 

（まとめ）

先生方に関係する税金には、お馴染みの所得税と住民税の他に、消費税や事業税が課税されることがあり

ます。消費税は課税売上（自費収入）が1000万円を超えると納税義務が発生し、2年後の事業年度に納税義

務が発生してきます。

事業税の場合は収入でなく所得に課税されます。

確定申告の際の申告所得を、保険収入と自費収入の割合で案分するのですが、個人事業の場合は290万円の

控除がありますので、自費診療のウェイトの高い診療科目（美容皮膚科外科、インプラント・矯正歯科な

ど）でなければ納税が発生することはないでしょう。

クリニックは個人事業も法人経営であっても、一般の業種よりも利益率の高い業種に入ってきます。

無駄に納税する必要はありませんが、計画的に設備投資を行うことや金融商品（生命保険等）を活用して

課税の繰り延べによる節税は積極的に行うべきです。その結果生じた納税は、これも計画的に資金管理を

していきましょう。最終的には内部留保（手元資金）を増加させることが事業の安定化につながっていく

のです。

参考までに、それぞれの税目の納税時期を紹介しておきますので、納税スケジュール表として利用してみ

てください。

下記以外にも、固定資産税（償却資産税）や従業員の源泉所得税の納税処理などもありますので、1年のう

ちで、ほぼ毎月、何らかの納税手続きをしていることになります。

非常に面倒ですが、こうしたことも経営者の仕事の一つですね。

 【参考】所得税　確定申告期限　予定納税は7月、11月

　　　　消費税　3月31日

　　　　住民税　6月、8月、10月、翌年1月

　　　　事業税　8月、11月

 【参考記事（医療経営関連）】

Vol.3 ウチのクリニックの経営は大丈夫？（3ケ月遅れの試算表では遅すぎる意思決定）

https://medical-takt.com/backnumber/2017/report15.html

Vol.16  クリニックで黒字倒産の危機

https://medical-takt.com/backnumber/2017/report50.html

Vol.38 節税目的で購入した器機の末路

https://medical-takt.com/backnumber/2017/report96.html

  

メディカルタクト 代表コンサルタント　　柳　　尚信

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