2018.01.23
クリニック奮闘記
Vol.56 先生、ウチ儲かってるんでしょ?
「Vol.46 電子カルテのデータ管理」では、医療情報の中枢である電子カルテのデータ管理の重要性につ
いて紹介致しました。医事課のスタッフは電子カルテを日常的に利用していますので、様々な経営データ
を見ることができます。
しかし多くのスタッフは単なる数字としての理解しかなく、データには無関心です。
これは別の問題として頭がいたところではあります。
本稿では、そんなデータに関心のある少数派のスタッフを取り上げてみたいと思います。
データ管理とは別次元の問題ですが、どこのクリニックでも起こり得るテーマではないかと思います。
Aクリニックの医療事務(レセプト請求)は、二人のスタッフに任されています。
それぞれ「超」が付くほどのベテランで電子カルテの操作にも精通しており、院長以上に使いこなし
ています。
事務員B 「今月もレセプト1000枚超えてるわね。」
事務員C 「診療報酬は●●●万円ね。ウチのクリニックは儲かってるわね!給料上げて欲しいわね」
こんな会話は、毎月のレセプト作業の中でいつも聞かれています。最初は冗談半分で話していたのです
が、開業してから日毎に忙しくなってくる割には、昇給も僅かだし、賞与も少ないと感じる様になってき
ました。
Aクリニックでは毎月1回、定例の個別面談があるのですが、その時に事務員Cは、とうとう不満を言って
しまいました。
事務員B 「院長、クリニックはこんなに儲かる様になったのに、私たちの給料は、これっぽっちしか増え
ていません。給料あげてください!」
A院長 「確かに収入は増えているけど、だからといってお金が残っている訳ではないんだよ。頑張って
いるのは分かってる!給料もあげてあげたい。でも君たちが思うほどは儲かってなんかいない
んだよ。」
(まとめ)
毎月レセプトを見ていると、流行っているクリニックであればあるほど、スタッフはその金額に驚くもの
です。レセプトに記載された金額は、おおよそ一般人が日常で目にすることがないくらいの金額です。
うらやましく思うのも理解できないわけではありません。
サラリーマンの場合は、会社から振り込まれてくる給料で遣り繰りします。
ところがクリニックや、その他の医療機関の場合、「レセプト請求額=儲け」ではありません。
業者への支払い、スタッフの給料、クリニックの家賃、銀行への返済やリースの支払い等々。
手元に残るお金ではないのです。スタッフには、この様な資金繰りは見えていませんので、理解できない
のは仕方のないことかもしれません。
具体的な数字まで説明する必要はありませんが、基本的な考え方は理解してもらう様にした方がよいで
しょう。
こちらのクリニックの場合、医業収入は確かに多いかもしれませんが、それを得るために院内検査を行っ
ています。エックス線装置、心電計の他には、最新のエコーを備えています。
また、迅速検査ができる様に血液検査機器もありますし、看護師の仕事がスムーズに行える様にと、処置
室にも電子カルテを設置しています。患者サービスを重視するための、一般的なクリニックよりも重装備
です。機器のリース料もそれなりの額に達していますので、院長が言う様に、手元にはそんなに残ってい
ないでしょうね。
メディカルタクト 代表コンサルタント 柳 尚信
(参考)
Vol.46電子カルテのデータ管理
https://medical-takt.com/backnumber/2018/report116.html
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