2018.01.24
クリニック奮闘記
Vol.57 看護師の採用は難しい
女性の場合、結婚、出産、育児というプロセスを経験するため、人生のステージによって、働く環境を変
化させていかなければなりません。
また最近では、そこに親の介護問題が出てきますので、女性が担う役割は男性以上に更に大きくなってき
ています。
こうした環境が女性の社会進出を阻み、日本の労働力不足の一因となっているため、政府としては女性の
活躍促進を目論み、様々な手を打とうとしています。
女性が働きにくい社会環境に相まって、看護師不足も深刻です。
市場全体を俯瞰しますと、まず病院が看護基準を満たすため、高額な給与で看護師の囲い込みを行いま
す。ここでは若年層と40代の看護師が中心となってきます。
40代が働くモチベーションとしては子供の教育資金の獲得にあります。
また病院の場合、外来勤務であれば、クリニックの夜診よりも早い時間に帰宅できるため、人気の要因に
もなっています。
そして、この中間層である子育て世代になりますと、勤務に際しては、様々な付帯条件がでてまいりま
す。
・自宅近隣であること
・午前を中心にした勤務を希望する。(午後診、夜診は極力避けたい)
・世帯主の扶養範囲内の収入に限定した勤務
このことから、お金を稼ぐこと以上に、家庭生活を支えることが彼女たちの重大任務になっているということが分かります。
家庭生活を維持できない位なら、無理をして働く必要もないと考える人が少なくないのです。
「なるほど! だから看護師の採用が難しいのか。」と諦める訳にもいかず、万策検討しなければなりま
せん。今回は、テーマを次のポイントに絞って考えてみましょう。
・勤務時間・給与・スキルアップのための研修への参加
(まとめ)
・勤務時間
常勤スタッフがいる場合、午前勤務と午後勤務の2交代制とし、中抜きの時間について勤務拘束はしない。
夜診帯の採用が難しいため、この時間帯のみ三分割し、遅い時間については割増賃金を支給することも検
討する。
例)16時~17時の勤務(通常賃金)
17時~18時の勤務(通常賃金)
18時~ラスト(割増賃金:手当の支給)
残業が常態化しているクリニックの場合は、午前診療も早出遅出を設けて、勤務形態に多様性を持たせて
みるのもよい。
・給与などの処遇
夜診帯など、人員の確保が難しい時間帯については、上記の様に割増賃金で対応する。
この場合、インパクトのある時給設定にすることで採用がスムーズになる。
高い手当につられて既存スタッフの中から希望者が出ることもある。
常勤スタッフの給与や時給の決定は、周辺相場を逸脱しない様にすること。
相場より高くすることで、一時的には採用のハードルが下がりますが、地域の賃金水準を引き上げるこ
とになります。
・研修への参加
参加費用が発生する場合、交通費を含めてクリニック負担とする。
業務命令として参加するだけでなく、自発的な研修参加も同様に取り扱うこと。
研修参加は業務の一環として取り扱い、3000円~5000円の手当の支給も検討する。
但し研修参加後は、院内にてフィードバックのための勉強会をすることを義務付けること。
メディカルタクト 代表コンサルタント 柳 尚信
(参考)
看護師の賃金水準データ(公益社団法人日本看護協会)
https://www.nurse.or.jp/nursing/shuroanzen/chingin/data/suijyun.html#fig01
Vol.4 求人広告に診療時間を記載
https://medical-takt.com/backnumber/2017/report38.html
Vol.10スタッフはお互いの給料明細を見せ合っている
https://medical-takt.com/backnumber/2017/report44.html
Vol.21残業したくないスタッフの対応
https://medical-takt.com/backnumber/2017/report61.html
Vol.29スタッフの離職がとまらない!
https://medical-takt.com/backnumber/2017/report76.html
Vol.39スタッフ間の給与バランスを考える
https://medical-takt.com/backnumber/2017/report76.html
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