Vol.65 迷惑をかけないクリニック経営

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2018.02.05

Vol.65 迷惑をかけないクリニック経営

事業をするということは、いろいろな利害関係者(ステイクホルダー)と関わっていくことになります。

従業員、患者、取引業者、金融機関、国地方公共団体などです。

さらに各関係者の家族まで含めると、とんでもない人数になっていきます。

クリニックを開業する時には院長の意思だけでスタートしますが、一旦、開業すると自分の意思だけでは

辞めることが難しくなってきます。

本稿では「辞めるタイミング=事業承継」をテーマに、こうした利害関係者に迷惑をかけないクリニック

経営の在り方について考えてみます。

 

20年前に父親のクリニックを継承したB院長も70歳を迎え、そろそろ「引退」を考え始めています。

自分がクリニックの引継ぎ(継承)をする時のドタバタ劇を繰り返すまいと、顧問税理士からアドバイス

をもらいながら進めることにしました。

 

B院長「当院は医療法人ですが、引退をするには何から始めたらいいんでしょうか?」

税理士「先生の場合は、身内に後継者がいらっしゃらないので、第三者に継承するか法人を

              解散するかになります。」

B院長「患者も少ないので、このまま自分の代で閉院しようと思いますので、アドバイスをお願いしま

             す。」

税理士「わかりました。では、閉院することを前提に準備を進めていくことにしましょう。」

 

「引退」を考えた場合、医療法人、個人診療所を問わず、継承するのか閉院するのかの2者択一で考えま

す。B院長は後継者を第三者に求めることをせず、閉院する道を選択しましたが、利害関係者との関係をど

の様に整理していくのかをみていきましょう。

・従業員

スタッフの年齢構成はみてみましょう。閉院後に再就職の必要のあるスタッフがいると思われます。

知り合いのクリニックにお願いできるところ、医師会を通じて求職活動支援なども検討してみて下さい。

常勤スタッフの退職金の手当はできていますか?

 

・患者

具体的な紹介は半年から数か月前から行います。在宅診療を行っている場合は、次の主治医については医

師会、地域包括、ケアマネジャー等に相談してみましょう。

長年通院している患者については時系列のデータの準備もしておいた方がよいでしょう。

 

・取引業者

薬品卸業者、検査会社、医療機器ディーラー、器機メーカーなどです。

具体的に閉院日が決まれば、在庫品の処分や引取りを行います。

産業廃棄物扱いになりますので、処分については業者の指示に従う様にしましょう。

医療機器の中には売却できるものもありますが、レントゲン装置の様に引取費用が発生するものもありま

す。

 

・金融機関

事業の借入金は完済されていますか? 住宅ローンなど個人の借入金は完済されていますか?

医療機器でリース契約のものはありますか?

リース債務が残っている場合、残リース部分について返済する必要があります。

契約内容の確認をして下さい。

 

・国地方公共団体

法人であれば「役員退職金」が法人から支給されますが、支給後に所得税と住民税を納税することになり

ます。個人診療所の場合、事業資産は全て廃棄する形で清算しますので、税金は発生しませんが、逆に

「営業権(のれん代)」が発生する金額で譲渡した場合は、総合課税の譲渡所得として課税されます。

・その他

テナントの場合、内装設備をスケルトン状態にしなければなりません。解体費用は概算で、坪当たり10万

円は見積もっておいて下さい。

 

(まとめ)

後継者がいない場合は第三者に求めることもできます。(事業承継:M&Aといいます)

この場合、見つかるまでに年単位で時間が必要なこともありますので、少なくとも2年位までには継承スケ

ジュールを作る様にしましょう。

先生方が考えなければならないことは、第一にスタッフの雇用問題、第二に患者の引継ぎ、第三に勇退後

の生活設計の順番です。仕事を辞めると収入がなくなりますので、十分な蓄えができていることが前提と

なります。「迷惑をかけないクリニック経営」というのは、閉院や譲渡ということが何時起こったとして

も、準備ができていることをいいます。

開業するタイミングは自分で決められますが、辞める時期は自分で決められないこともあります。

事前準備には十分に時間をかけることを心掛けて下さい。

 

メディカルタクト 代表コンサルタント  柳  尚信

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本当は知りたい失敗談!!

世の中に成功体験は数多くありますが、苦労話や失敗談を見聞きすることはあまりありません。クリニックの中で実際に起こった、先生方がこれから経験するかもしれないトラブル事例をエッセイ風に読みやすくまとめてみました。
成功ノウハウを真似るのは難しいですが、失敗のリスクを予見し、軽減することでクリニック経営を安定させることができます。本稿では思いがけないトラブルが連発しますが、「他山の石」として実際の経営に活かしてください。

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