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2018.02.09

Vol.69 在宅医療のススメ

施設から在宅へと、人生の最期を自宅で迎える人が増えてきました。

病院機能の分化と病床数の削減により、今後もこの流れは加速していくものと考えられます。

地域医療におけるクリニックの役割は、ゲートキーパーとしての「かかりつけ医」機能です。

病院はより専門的な医療に特化し、地域全体で医療インフラの最適化を目指しています。

また医療だけでなく、高齢者の介護や生活支援も一体となって地域で提供する「地域包括ケアシステム」

が医療介護総合確保推進法の中で謳われています。

制度の基本に立ち返ると、クリニックは従来の外来機能だけでなく、在宅医療の機能も期待されているの

ですが、一人の医師ができることの限界もあります。

本稿では、そんな在宅医療の在り方について考察してみたいと思います。

 

一般的にクリニックの診療時間は午前診療と午後診療の2回に分かれており、間の2時間ないし3時間は休憩

時間となっています。往診(在宅)診療を行っているクリニックでは、この昼休憩の間の時間に数人の在

宅患者の診察を行うのが一般的です。

そこで一般的なクリニックの患者のキャパシティを見てみますと外来は平均すると50人/日、在宅患者は20

人程度ではないでしょうか。(月2回訪問、在医総管を算定 一日に2人~3人の訪問)

訪問診療を行う場合、「在宅療養支援診療所」として24時間体制で臨みます。

ドクターは常にオンコール状態にあります。夜間の対応を他のクリニックとの輪番制にしたとしても、そ

のストレスは大きいものであると考えられます。

地域における在宅医療は医師のストレスを軽減する意味からも、複数クリニックでの対応を基本とした

い。また看取りまで行うことができる医療機関の数が少ないことへの対策も考えていかなければなりませ

んが、この問題における医師会の責務は大きいものと考えられる。

実務的なオペレーションとしては、時間軸を2つに分けて考えてみる必要もあると思われます。

24時間という「縦の時間軸」と365日(1年)という「横の時間軸」の2つ。

24時間の時間軸に関しては、訪問看護ステーションとの有機的な連携により医師の負担を軽減する方法。

365日(1年)の時間軸は、輪番制によるドクターのネットワークを構築する。当番によるインセンティブ

については、地域単位で予算の設定があってもいいのではないでしょうか。

 

「在宅療養支援診療所」は届出制となっているが、夜間対応や看取りの手配等については、その機能を医

師会による采配があってもいいのではないかと思っています。

高齢者の増加、多死社会を迎える中で効率的に医療インフラを機能させる必要が出てきます。

今から10年後の変化はないかもしれませんが、20年後の世の中は変化への対応を迫られる世の中になって

いることでしょう。

20年後も現役で働いている先生方、これから開業される先生方は、既成概念を捨て去って、全く新しい社

会インフラに置かれることの覚悟が必要になってくるかもしれません。

 

(参考)

「未来の年表(河合雅司著)」では、人口減少社会が進む中で、社会構造が劇的に変化していく様をテー

マとして取り上げています。以下年表を抜粋しておきますので、今後の戦略の参考にしてみては如何で

しょうか?

 

2016年 出生数は100万人を切った

2017年 「おばあちゃん大国」に変化

2020年 女性の2人に1人が50歳以上に

2021年 介護離職が大量発生する

2022年 「ひとり暮らし社会」が本格化

2024年 3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」へ

2026年 認知症患者が700万人規模に

2030年 百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える

2042年 高齢者人口が約4000万人とピークに

 

メディカルタクト 代表コンサルタント  柳  尚信

  

(参考)

未来の年表 河合雅司著  講談社現代新書

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世の中に成功体験は数多くありますが、苦労話や失敗談を見聞きすることはあまりありません。クリニックの中で実際に起こった、先生方がこれから経験するかもしれないトラブル事例をエッセイ風に読みやすくまとめてみました。
成功ノウハウを真似るのは難しいですが、失敗のリスクを予見し、軽減することでクリニック経営を安定させることができます。本稿では思いがけないトラブルが連発しますが、「他山の石」として実際の経営に活かしてください。

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