Vol.76 業務の効率化はしたけれど

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2018.02.20

Vol.76 業務の効率化はしたけれど

人の数だけ仕事のスタイルがあります。

クリニック経営の中で、それぞれが自分流で業務を行っていてはコミュニケーションギャップを生む原因

にもなりますし、何よりも非効率です。

多くのクリニック(事業所)では、誰でもが簡単にできる様に定型化されています。

パートスタッフが多いことや、遅くまでスタッフが残業する訳にもいきませんので、できるだけ余計なこ

とはしたくないところです。本日は、業務改善を行ったクリニックのその後をみて見たいと思います。

仕事の効率が上がるだけでなく、質の向上にもつながり、最終的に患者サービスの向上につながっている

はずなのですが・・・・。現実にはそうなっていないことがあります。

 

A院長は業務改善の手始めに、受付業務の改善に着手しました。改善項目は次の通りです。

・レセプトチェックは1週間に1回行っているレセプトチェックを廃止する

これまでの実績として、修正の必要のあるレセプトは限られており、2回も同じ作業をする必要性がない。

カルテ及びレセプトは基本的には診療終了時、会計終了後において95%以上の完成度に仕上がっている。

 

・検査データのスキャンは、その都度行い、資料が滞留することのない様にする

重要性の低い業務として位置付けられているため、業務が後回しになっている。

保険情報の入力と同列に、一連の業務として患者単位で行うものとする。

結果として、会計終了後までには全ての事務処理は完了しており、残業が発生することはない。

 

・業務については担当制ではなく、持ち回りで行い、全ての業務を全員ができる様にする

分業制にし、専門的に業務を処理することで業務効率を上げる狙いがあるが、クリニックで行う作業に

は、それ程の特殊性はないため、業務効率の向上に対する貢献度は低いと感がられる。

むしろ全ての業務を、持ち回りで全員ができる様にすることで、業務に対するバックアップ体制が整うこ

とと、業務に対する相互理解が深まるというメリットがある。

この様にして業務改善を行った結果、受付スタッフの事務負担は軽減され、残業時間も減っていきまし

た。A院長は、余裕ができた時間を、患者サービスに振り向けることができることを期待していたのです

が、思い通りの結果にはならなかったのです。

データのスキャンが滞留することはなくなりました。業務を持ち回りですることにより、手の空いたス

タッフがヘルプに入れる様にもなりました。

ところが空いた時間を使って、レセプトの点検作業をし始めたのです。

業務改善前は1週間に1回だったのが、ほぼ毎日行っている様です。どうしてでしょうか?

業務の効率化により時間ができた所まではよかったのですが、元の慣れた業務をし始めたのです。

しかも以前にも増して時間を費やしています。

 

A院長「レセプトの点検は月初にまとめて行って下さい。日常業務の中ではしなくていいです。カルテ記載

             の不備については、気が付いたものは、その日の内に行って下さい。」

事務員「先生、返戻とは査定を受けると困りますので、レセプトは念入りに点検した方がいいと思うので

              すが・・・・。」

A院長「電子カルテなので、点検にはそれ程、それ程時間は必要ないよ。君たちがしている様にプリントア

             ウトして全件検査する必要はないんだよ。」

 

(まとめ)

スタッフの抗弁として、レセプトの返戻や査定を受けることは自分たちの責任であるとしていますが、実

際に、どれ程の査定や返戻があるのかを検証してみる必要があります。

点検により修正されたレセプト金額と合計と、スタッフが事務処理に要した投下時間を鑑みて検討してみ

ましょう。

 

さて、院長自ら業務改善の陣頭指揮に当っていたにも関わらず、元の木阿弥となってしまいましたが、新

しい仕組みの「定着化」には抵抗力が働くものです。誰しも従来型の慣れた仕事をなかなか手放せませ

ん。システムが定着するまでの間は、定期的に現場作業をチェックを行いましょう。

改善策が機能不全になっていることもありますので、担当者の意見も聞きながら更なるバージョンアップ

を図りましょう。

 

メディカルタクト 代表コンサルタント  柳  尚信

(参考)Vol.77 業務の棚卸 

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世の中に成功体験は数多くありますが、苦労話や失敗談を見聞きすることはあまりありません。クリニックの中で実際に起こった、先生方がこれから経験するかもしれないトラブル事例をエッセイ風に読みやすくまとめてみました。
成功ノウハウを真似るのは難しいですが、失敗のリスクを予見し、軽減することでクリニック経営を安定させることができます。本稿では思いがけないトラブルが連発しますが、「他山の石」として実際の経営に活かしてください。

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