2021.04.20
Vol.669 高級外車の節税対策
Vol.669 高級外車の節税対策
高額納税者の先生方にとっては当り前ではあるでしょうが、今更ではありますが、節税スキームを見直してみたいと思います。
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一般的な高級セダンの新車を購入する場合と、リセールバリューに優れたF社の中古車を購入する場合で比較してみましょう。
(法定耐用年数6年 減価償却は定額法で計算しています)
・新車価格3000万円の欧州車の場合
1年間の減価償却費500万円×6年
→ 節税効果(法人税率30%とすると)500万円×30%×6年=750万円
6年後すぐに1000万円で売却できたとすると、法人税は譲渡益1000万円×30%=300万円となります。
これをキャッシュフローでみてみると、購入時の価格から売却輸入を差し引いた車両の減損分は以下の通りです。
3000万円-1000万円=2000万円
税効果はトータルで、750万円-300万円=450万円 のプラスです。
従って、車両の購入によって発生したコストは、2000万円-450万円=1550万円 となります。(3000万円の新車を購入し所有したことに対する6年間の総コストです)
・中古価格3000万円(5年オチのF社の場合)を毎年買い替える場合
中古車なので耐用年数は1年となり、購入年度において一括損金処理ができます。
従って、3000万円×30%=900万円の節税効果が得られます。
次年度は償却費がゼロになるため、ここで同じグレード、価格の中古車に買い替えます。これを6年間続けた場合のキャッシュフローをみてみましょう。
便宜上、買取価格は2000万円とします。これはリセールバリューの高いF社であるという前提にたっています。
この場合の、車両の減損分は、以下の通りです。
3000万円-2000万円=1000万円
初年度の節税効果は、減価償却費3000万円が経費となるため、3000万円×30%=900万円となります。従って1年目のコストとしては、以下の通り。
1000万円-900万円=100万円(3000万円の高級車の購入コストです。)
これを6年間繰り返すとどうなるでしょうか?
2年目以降6年目までは、旧車両の売却収入2000万円と新車両の減価償却費3000万円が相殺され△1000万円が法人所得となります。
車両購入時に毎年1000万円の自己資金を必要としますが、1000万円×30%=300万円の節税効果は得ることができます。
最終的に2000万円の売却収入が入ってきたときの6年間の収支をみてみましょう。
・当初の購入費用3000万円
・2年目~6年目(5年間)の買い替え時に必要な自己資金5000万円
→購入コストの合計 3000万円+1000万円×5年=8000万円
ここから売却収入2000万円を差し引きすると6000万円ということになります。
そしてこの間の節税効果は次の通り。
初年度3000万円の減価償却費に対する節税額 3000万円×30%=900万円
2年目~6年目の節税額1000万円×30%×5年=1500万円
最終の売却収入に対する増価税額2000万円×30%=600万円
従って車両を買い替え続けることによる6年間のコストは6000万円-(900万円+1500万円)+600万円 =4200万円ということになります。
(まとめ)
タンカーや航空機を使った節税商品が流行した時代がありました。償却費が大きい分、短期間における節税効果が大きく、かつ買取時にはプレミア価格がつくため購入時と変わらない金額で取引されていましたため、高額納税者に人気がありました。本稿の場合でも、購入時と売却時(下取時)が同額であれば減価償却費の分だけ節税効果が得られるということになりますが、それはプレミア価格の商品についてのみ言えることではないでしょうか?
代表コンサルタント 柳 尚信