2021.05.18
クリニック奮闘記
Vol.672 困ったスタッフの仕事の仕方
私ども経営コンサルタントは、経営の意思決定にかかわるだけでなく、スタッフと一緒になって現場の業務改善にも取り組んでいます。スタッフの仕事の仕方に原因があることが多いのですが、本稿ではAクリニックの困ったスタッフに迫ってみたいと思います。
https://medical-takt.com/backnumber/
弊社ではAクリニックの受付事務の業務改善のお手伝いをしています。
院長先生が改善項目として掲げられたのは次の通りです。
・レセプト請求時の残業時間が多い
・スタッフ間の情報共有ができていない
・新人スタッフが育たず、直ぐに退職してしまう。
どこのクリニックでもある問題点です。これらについては、スタッフの仕事の仕方に問題がある場合が殆どです。この3つのテーマは本質的には一つの要因に集約されます。
つまり、ベテランスタッフ(一人でないこともあります)が自分流の仕事をしていることに尽きます。いくつものクリニックを渡り歩いてきて身に付けた仕事の癖をAクリニックのスタンダードにしています。
レセプト業務を他のスタッフに教えることもなく、一人で抱え込んでしまい、引継ぎができない状態になっています。自分しかできない仕事の領域を広げることで、クリニックでの存在価値を高めようとでもするのでしょうか?その結果、残業時間も増えることとなります。
また、仕事を教えてもらえない新人スタッフは、モチベーションが上がることなく短期で退職していきます。1人で全てを行おうとするので、情報共有もできていない訳です。
(解決のアプローチ)
・レセプト請求に関する院内勉強会の開催
定期的に勉強会を行うことで、レセプトに対するスタッフの知識をレベルアップしていきます。
・月次のレセプト業務
新人スタッフにレセプト業務を行ってもらいますが、最終的なチェックは弊社で行います。細かなチェックは難しいですが、約6ケ間で一通りのレセプト業務ができる様になります。
・連絡ノート(申し送りノート)の作成
日々の業務連絡を記録します。毎日、診療終了後に院長が検閲することで、スタッフに監視の目があることを意識させ、仕組みの定着化を図ります。これに加えて、朝礼時にもノート内容を発表する様にしています。
(まとめ)
ひとりのベテランスタッフに実務を任せることは、特定の業務に限っては効率的なこともあるでしょう。しかし、他のスタッフが対応できない業務領域を作ってしますのは、クリニックにとっては大きなリスクです。スター選手は要りません。60点をコンスタントに取れるスタッフを院内のルール(仕組み)で運営する方法を模索していきましょう。
代表コンサルタント 柳 尚信