2021.11.01
クリニック奮闘記
vol.676 開業することへの不安
弊社では、100件余りの新規開業のコンサルティングを行ってきました。開業相談の件数を含めますと400件超になりますが、それだけの人数の先生とお話しをしていて気付いたことがあります。内容は多岐に渡りますが、例外なく「開業に対しての不安」を口にされます。本稿では、開業を検討している先生方の不安について考えてみたいと思います。
大きく二つのカテゴリーに分類してみます。
・開業相談に来られますが、実際には開業しなかった先生
・トラブルを抱えながらも無事に開業までこぎつけた先生
開業に興味があり相談に来られますが、行動に移さなかった先生の胸のうちを推察してみましょう。勤務先病院等での不満や、将来に対する漠然とした不安を抱え、開業を考え始めるのですが、相談に来られる段階では、情報収集段階であることもあり、"決心"している段階ではありません。『興味はあるけど、どんな感じなのかな?』といった状態です。
"開業する"ということは、"起業する"ことです。事業を始めることなので成功が約束されている訳ではありません。失敗するリスクがあるのです。
先生方の不安はここに集約されていきます。そして不安を払拭しようと、できるだけ多くの情報を収集する行動にでていくのですが、この段階で、開業するかしないかの分岐点に立たされることになっていきます。
【開業する先生】
リスクの評価を行いつつ、成功するための要因分析を行っています。どうすればクリニック経営は上手くいくのかを、頭の中でシミュレーションしながら事業モデルを構築します。
【開業しない先生】
リスク評価を行いますが、成功するための要因分析ができていません。結果を出すことことの難しさはシミュレーションしますが、成功するために何をしなければならないのかの考察ができていません。
(まとめ)
どちらの先生もスタート地点は同じ、得られる情報も同じですが判断が異なるのです。
事業計画書ではリスクを表面化させてシミュレーションをしますが、後になって検証するためのツールに過ぎません。開業を考えている先生に求められることは、『結果を出すための行動力』です。実は、情報収集の段階から試されているのです。