Vol.678 スタッフの退職に伴う業務の引継ぎについて

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2021.11.29

Vol.678 スタッフの退職に伴う業務の引継ぎについて

夏、冬のボーナス時期は、賞与を受け取った後に退職を考えるスタッフは少なくありません。

クリニックにおける看護師業務の場合は、日々の診療の中で業務は終了していきますので、引継ぎに時間がかかることはありません。患者情報についてはカルテを見ればわかるからです。ところが、事務員の業務については、一定の引継ぎ期間が必要なことがあります。

 

Aクリニックで開業当初から医療事務として勤務しているBさんは、今年の12月末日をもって退職することになっています。院長には詳細は知らされていませんが、職場の人間関係に悩んでいた様です。クリニックにとっての問題は、Bさんの業務の引継ぎにあります。レセプトを始めとする業務の大半を中心になって行っていたのです。退職までの2ケ月間で全てを引継ぎしなくてはならないことが院長の悩みの種になっています。

 

A院長「Bさんがやってきた業務の引継ぎを、Cさんを中心に行って下さい。」

Cさん「院長、レセプトの引継ぎは私たちだけでは自身がありませんし、忙しすぎて全てを引き継げないです。」

 

こんな感じで、スタッフから泣きつかれている状態です。困った院長は経営コンサルタントに相談し、解決策を模索することにしました。

 

コンサルタント

「まず、事務スタッフがやるべき全ての業務を棚卸ししてみましょう。その後、優先順位を付けて順位の高い業務から時間を取っていきましょう。」

・レセプトの一次点検、及び二次点検

・薬局からの薬の疑義照会

・卸業者への発注業務

・各種請求事務手続き

・小口現金の会計処理 

(まとめ)

この様に整理してみると、やるべきことが明確になってきました。今回の引継ぎで改善すべきことは、これらの業務を担当制にするのではなく、全てのスタッフが持ち回りで行う様にすることです。そうすることによって、退職時の引継ぎ業務をスムーズに行うことができますし、日常においても急な休みにも対応ができる様になります。この中で唯一、時間と能力的に難しい項目はレセプトです。流石に2ケ月でマスターすることはできないため、数ケ月間は専門業者に外注することにしました。その間、全員でレセプトの勉強会を行い、自前でレセプト請求ができる体制を目指しています。スタッフの向上心にも助けられ、6ケ月後にはクリニックのスタッフだけでレセプト業務ができる様になり事なきを得ました。担当制にすることで、業務効率は高くなりますが、ギリギリのスタッフ数で対応しているクリニックでは、退職時の対応を考えると得策ではありません。ジョブローテーションしながら全員ができる体制を目指すの方がよいのではないでしょうか?

 

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本当は知りたい失敗談!!

世の中に成功体験は数多くありますが、苦労話や失敗談を見聞きすることはあまりありません。クリニックの中で実際に起こった、先生方がこれから経験するかもしれないトラブル事例をエッセイ風に読みやすくまとめてみました。
成功ノウハウを真似るのは難しいですが、失敗のリスクを予見し、軽減することでクリニック経営を安定させることができます。本稿では思いがけないトラブルが連発しますが、「他山の石」として実際の経営に活かしてください。

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