Vol.692 60歳を過ぎてからのクリニックの承継対策

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クリニック奮闘記

2023.09.26

クリニック奮闘記

Vol.692 60歳を過ぎてからのクリニックの承継対策

 クリニックのライフスタイルは、40歳代で開業してから20年間の成熟期を過ごしたのちは60歳代からは衰退期に向かっていきます。

誰しも終わりを考えることには抵抗感を感じるものですが、社会の公器としてのクリニックを経営されている先生方においては、閉院ではなく、事業の存続という選択肢について考えて頂きたいと考えています。

 

開業は自分の意思ですることができますが、廃業、事業譲渡(承継)といった出口戦略では直接的な利害関係者が存在するため、思うようにいかないことの方が多いものです。

整理すべきことが多いだけでなく、課題解決には年単位の時間を要することがあるためです。仮に70歳代で勇退すると考えた場合の事業承継対策について、最低限の項目についてみていきましょう。

・後継者問題

院長先生の後継者は誰なのか。ご子息を予定しているかもしれませんが、家族間でのコミュニケーションがとれているでしょうか。

院長先生は、後継者として考えているかもしれまませんが、当の本人には、①クリニックを承継する②別の場所で開業する③勤務医として人生を全うする という3つの選択肢があります。仕事観も違えば時代背景も異なっていますので、同じ気持ちでないかもしれないと考えなければなりません。

 

・スタッフの年齢を考える

仮に廃業するとした場合、院長先生と同年齢のスタッフであれば一緒に引退できます。

40歳代のスタッフの10年後、30歳代のスタッフお10年後を想像してみると、簡単には医業することができるでしょうか。看護師の場合は再就職がしやすいかもしれませんが、事務職の場合、特に勤続年数の長いスタッフの場合は、再就職の条件は悪くなります。もしかすると再就職ができないかもしれません。このように、スタッフの雇用という側面からも事業承継を真剣に考えなければならないポイントがあるのです。後継者がいない場合は、第三者を探すことも視野に入れなくてはなりません。

 

・事業の整理をする

 クリニック事業だけでなく介護事業所を併設しているクリニックの場合、承継後の事業イメージを考える必要があります。

黒字の事業所であれば第三者への事業譲渡が可能ですが、赤字の場合はなかなかそうもいきません。具体的な後継者候補がいる場合は、将来に向けての事業計画を話し合うことをしてください。話の方向性によっては事業部門を廃業することもけんとうしていくことになるでしょう。院長先生が引退前であれば再就職までの時間的猶予がありますので、スタッフに負担を強いることもなくなるでしょう。

 

(まとめ)

このほかにも詰めるべき内容は多岐に渡りますが、今回は人的なテーマにフォーカスしてみました。要するに、相手の意向を踏まえた事業承継プランを遂行しなければならないということ、そのためには時間が必要だということをご理解いただければよろしいかと思っています。