2024.03.25
クリニック奮闘記
Vol.697 戦略的にレセプトを活用する
弊社がレセプト請求代行業を行っている理由が二つあります。
①レセプトを通じてクリニック経営を健全化すること
②医療事務スタッフの社会的地位の向上
単なる外注業務として捉えるのではく、クリニックの経営課題の解決と、医療事務の改革の両方をかかげて取り組んでいます。
本稿では、レセプトを経営に生かすことについて解説します。
全国に10万件のクリニックがありますが、そのうち6割は内科系のクリニックです。〇〇内科クリニックという総称は少なく、〇〇循環時内科、△△消化器内科、◇◇糖尿病内科というように専門分化されてきました。これはマーケットに競合が増えすぎているがゆえに、専門分化することで他院との差別化を図ろうとしている結果なのです。
それだけ競争が厳しくなっているということです。
今年度は医療保険の診療報酬と介護報酬が同時改定されますが、表向きプラス改定となっていますが、その内容は決して楽観しできるものではありません。日本国としての国家の財源を考えれば、容易なプラス改定などあり得ないと想像できます。
医療機関としては増収が見込めなくなるならば、利益ベースで稼ぐしかありません。つまりは経費を抑えて院長先生の手取りを増やす方策です。これまでは潤沢な医療費財源に守られて、経営を考える必要がなかったクリニックであっても、考えなければ生き残れない時代に突入しました。
では、どうすればいいのでしょうか? 顧問税理士からは、『診療単価をあげましょう』『患者数を増やすことを考えましょう』と抽象的なお話しをされるかと思います。税理士が悪いわけではなく、財務諸表から読み取れる戦略には限界があるのです。増収のために、または利益を残すために何をすべきかを考えなくてはならないのです。そのヒントがレセプトにあります。
私は、診療行為別集計表をも用いた経営分析を奨励しています。このデータは電子カルテから簡単に抽出することができます。
データからは、収益の構造を読み取っていきます。収益の柱が何であるのか?利益の源泉がどこにあるのか?これを特定することで、取り組むべき課題を炙り出していきます。
頑張らなければならないことはわかっています。何を頑張れば良いのかを知らなければ、改善のやりようがありません。レセプトは先生方に、経営改善の努力するポイントを教えてくれるデータなのです。