Vol.700 医療事務スタッフ間のレセプト知識の共有

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クリニック奮闘記

2024.05.08

クリニック奮闘記

Vol.700 医療事務スタッフ間のレセプト知識の共有

レセプト請求は、医療機関の収益に直接的に影響するものなので、本来であればクリニック内で自前で行うべきものではありますが、昨今の採用難においては経験者を採用することが難しいため簡単なことではなくなってきました。こうしたニーズにお応えすべく、弊社では診療報酬請求(レセプト請求)代行を行っています。一時的に応急的にレセプトのアウトソーシング(外注化)を利用するのはよいのですが、アウトソーシングそのものもリスクであると考えておかなければなりません。本稿では、医療事務スタッフを如何にして教育育成していくかについて解説していきたいと思います。

医療事務スタッフの業務としては、受付業務といわゆるレセプト業務(診療報酬算定請求業務)の2種類に大別されます。病院はべつとして、クリニックにおいては、このレセプト業務を行うスタッフが不足していることが問題となっています。人員不足を補う業務スタイルは工夫すれば、未経験者だけでも、ある程度はカタチになるのですが、やはり経験者は欲しいものです。1人でも経験者がいれば、そのスタッフを中心にレセプト業務を分散させていきましょう。大事なことは一人のスタッフがレセプト業務を抱え込まないようにすることです。よくあることですが、レセプト経験者が一人しかいない場合、他のスタッフに教えることをせず、一人で(自分流)で業務を行ってしまっています。普段は何の問題もないかもしれませんが、このスタッフが退職したらどうなるでしょうか? また、このスタッフのレセプト請求業務における業務レベルはいかがでしょうか? 先生方が知らないだけで、もしかすると業務品質が低いかもしれません。業務品質のチェックを複数のスタッフで行える体制でなければ、専任で行っているスタッフの業務レベルが、そのクリニックのレセプト精度にそのまま反映されることになります。まとめると、①専任スタッフの退職リスク ②専任スタッフの業務品質に対するリスク これを解消することがクリニックのテーマとなります。短期的には問題ないかもしれませんが、いずれインパクトのある問題として目の前に現れてきます。対策として考えられることは、(1)院内で勉強会の時間をとり情報を共有すること。 (2)レセプト外注業者を使いながらスタッフ教育を行うこと の2点です。

まず、院内の勉強会の開催ですが、パートスタッフの多いクリニックでは、全員が集まる時間がとりにくいということ、また院内のスタッフが講師をしたがらないことにより、思うように進みません。結局は日常業務の中でOJTの形で教えていくことになってしまします。

そこで業務を2種類に分解します。作業レベルで行えるものと、知識がひつような業務です。レセプト請求業務を2つの種類に分けることで、作業レベルの業務を未経験者に行ってもらうことができますので、経験者は、知識が必要な業務に専念することができます。その次の段階として、知識を必要とする業務の内で、簡単なものから(ひとつづつでも良い)レセプトチェックをしてもらうようにしましょう。レセプトチェックを行う項目が30項目あるとするならば、5項目ずつを半年かけて学んでもらうくらいでもよいでしょう。まずはできるところからスタートです。また弊社の様なレセプト外注業者を利用される場合は、やり方が若干ことなります。レセプトチェックは弊社で行い、修正をクリニックのスタッフが行います。(まずは作業レベルの業務の習得です) 修正後に提出が完了した段階で院内で勉強会を行います。"勉強会"といっても、その内容はレセプトの修正内容についての情報共有です。すでに間違って箇所の修正はスタッフが行っていますので、間違った認識はあります。ここでは『なぜ間違えたのか』を検証します。知識不足であれば、判断のための根拠を学びます。学びの場となります。また、忙しい日常業務の中で、どうしようもないミスもあるかと思います。一朝一夕に解決する方法はないかもしれませんが、改善にむけて考える時間としてください。もしかすると小さな改善ポイントが見つかるかもしれません。要するに、ここでは知識、情報の共有による医療事務スタッフのレベルアップを図ることに加えて、現場の業務改善を行うことが目的です。医療事務スタッフを単なる作業者としてではく、業務改善を通じてクリニックの付加価値に貢献するスタッフに教育育成していくことが大切であると考えています。