2024.05.15
クリニック奮闘記
Vol.702 人口減少社会とクリニックの人財マネジメント
人口減少という社会課題に対しては、日本のみならず先進国では避けられない問題となっています。人口を増やすことに対しての具体的な方策はないものの、医療機関側としてはDXによる省力化をベースにした業務を検討していくことになると考えられます。本稿では、現状における問題点と、対症療法的な解決提案をしていきたいと思います。
まず、人口減少によるインパクトを2つの側面から捉えてみたいと思います。
①患者数の減少
②スタッフの採用難(看護師および医療事務)
患者数が減少することは避けられないのですが、同時に診療報酬改定による医療費の削減がダブルで医療機関(クリニック)にも襲ってきます。クリニックにおいては、地域の夜間人口(住民票の登録人数)をベースに診療圏を考えていきます。人口増の自治体(地域)もありますので一概には言えませんが、減少傾向にあると考えなければなりません。
毎年、増収増益とはいかなくなってきます。とはいえ、医療機関の維持と、先生を始めとする医療スタッフの生活の維持向上のためには、利益は確保していかなくてはなりません。ここで大事なのは "売上" ではなく、 "利益" を重視するということです。当たり前ですが、収入が増えないのであれば、支出をコントロールするしかないのです。
改善のポイントを整理すると次のとおりです。
・診療時間の見直し(水道光熱費の削減、パートスタッフの効率的な勤務)
・適正人員の配置(クリニックの運営に必要な人員は何人なのか?)
ここでは看護師と医療事務スタッフに分けて考える必要があります。
(看護師の場合)
医療の安全性に直接的に影響するものについては、安全性を重視した人員配置を検討すべきです。人件費を費用的な側面だけで判断しないようにしてください。
(医療事務スタッフ)
事務機器に対する投資は積極的に行いましょう。作業的な業務が多いため、省力化のための投資は必須です。DXへの取り組みが医療機関(クリニック)での課題となるため、医療人としてのモラルにプラスして、デジタルにも対応できる人財の雇用が必要ということになります。逆に言うと、システムに対応できないスタッフは採用すべきでないということになります。業務を作業的業務と、高度な知識を擁する業務に分解し、"作業的業務"はDX化する。もしくはレセプト業務の様なものは、外注するなどの検討もしてみましょう。
2番目のテーマである"スタッフの採用難"は、DXもしくは"外注化(アウトソーシング)"でしか切り抜けられません。
クリニックのマネジメント手法にはいろいろな考え方があります。これまでの既成概念をとっぱらって、新しいリソースを活用することで、これまでにないクリニックを実現していきましょう。医療の質的サービスの差別化と合わせて、クリニックのオペレーションの改革による差別化ができているのは、まだまだ少数派です。まずは試してみて、修正しながら効率化を図っていきましょう。