Vol.710 クリニックのマーケティング戦略(ポーターの競争戦略)

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2024.06.18

Vol.710 クリニックのマーケティング戦略(ポーターの競争戦略)

本稿では、クリニックのマーケティングについて考えてみたいと思います。これまで国内では医療機関の数が不足していましたが、国策によりクリニックの数が増え、患者にとっては良い環境が整いました。しかし、その一方で、クリニックを経営する医師にとっては厳しい競争環境になっています。これまでは医療分野でマーケティングの概念があまり重要視されてきませんでしたが、競争戦略の観点からクリニック経営を考えてみることにします。

まず、クリニックのマーケティング戦略をポーターの競争戦略のフレームワークに沿って考えてみましょう。ポーターの競争戦略には、以下の3つの基本戦略があります:

  1. コストリーダーシップ戦略
  2. 差別化戦略
  3. 集中戦略

これらの戦略をクリニックに適用する方法について説明します。

  1. コストリーダーシップ戦略
    コストリーダーシップ戦略は、業界で最も低いコストでサービスを提供することを目指します。クリニックの場合、この戦略を実施するには次のような方法があります。医療の場合、統制価格が設定されていますので、ここで言うコストとは原価管理のことを指します。
  • 効率的な運営:電子カルテの導入やオンライン予約システムなどのIT技術を活用して業務効率を向上させる。また、レセプトの処理を外部に委託(アウトソース)することで、人件費の削減も可能です。
  • スケールメリットの活用:複数のクリニックを経営することで、医療機器や消耗品を大量に購入し、コストを削減する。
  1. 差別化戦略
    差別化戦略は、他のクリニックと異なる独自のサービスや特徴を提供することを目指します。これにより、価格競争に巻き込まれにくくなります。クリニックでの差別化戦略の例は次の通りです:
  • 専門特化:特定の疾患や治療法に特化した専門クリニックを開設します。例えば、糖尿病専門クリニックやスポーツ医学専門クリニックなどがあります。市場が飽和状態になると、このように専門分化していく傾向があります。
  • 高品質なサービス:最新の医療機器を導入し、質の高い医療サービスを提供します。また、顧客満足度を向上させるための研修をスタッフに実施します。最新の医療機器が患者を呼び込むわけではなく、院長の医療技術やスタッフの対応が重要です。
  • 独自の付加価値:患者の待ち時間を快適にするためのラウンジやカフェスペースの設置、オンライン診療サービスの提供など、他のクリニックにはない付加価値を提供します。例えば、Wifiの提供は待ち時間対策として有効です。
  1. 集中戦略
    集中戦略は、特定の市場セグメントや地域に特化する戦略です。クリニックの場合、この戦略を実行するには次のような方法があります:
  • 特定の地域に集中:地域密着型のクリニックとして、その地域のニーズに応じたサービスを提供します。地域のコミュニティイベントや健康講座を開催し、地域住民との関係を強化します。このモデルは地味ながら有効で、継続できる先生は少ないかもしれませんが効果的です。
  • 特定の患者層に特化:例えば、小児科専門クリニックや高齢者専門クリニックなど、特定の患者層に特化したサービスを提供します。年齢によるセグメントを行う場合、地域の人口動態も考慮する必要があります。
  • 特定の治療法に集中:例えば、リハビリテーションに特化したクリニックや予防医療に力を入れたクリニック、がん治療(緩和ケア)に特化したクリニックなどがあります。

実行時の注意点

  • 市場調査:選んだ戦略が実際に有効かどうかを確認するため、市場調査を行うことが重要です。競合クリニックの状況や地域の医療ニーズを把握しましょう。
  • 持続可能性:短期的な視点だけでなく、長期的に見て持続可能な戦略を立てることが重要です。特にコスト削減の際には、サービスの質を落とさないよう注意が必要です。また、医療機関の場合、長期にわたる人口動態の把握が重要です。
  • 柔軟性:市場環境や患者のニーズは常に変化するため、戦略を柔軟に変更できるようにしておくことが重要です。

これらのアプローチを組み合わせることで、クリニックは競争優位を築くことができますが、流行に流されないよう注意しましょう。

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