2024.09.04
クリニック奮闘記
Vol.735 「コミュニケーションのまずさが仕事に影響する」(2日目)
今回はスタッフ間のコミュニケーション問題にフォーカスした内容です。どのクリニックでもよく見かけられる風景だと思います。
1. 微妙な空気の変化
午前の診療が進む中、医療事務の佐々木さんは、隣に座っている同僚の松本さんの様子に違和感を覚えた。普段は冗談を交えながら仕事を進める彼女が、今日は終始無言だった。目が合うこともなく、ただ淡々と業務をこなしている。
「松本さん、大丈夫?」佐々木さんは声をかけたが、顔を上げずに「うん、大丈夫」と短く答えただけだった。その返答に一瞬、言葉を失った。何が原因かは分からないが、明らかに何かが起こっていることは感じ取れたからだ。
2. 予期せぬトラブルの発端
その日、診療が進む中で、看護師の山田さんと医療事務の松本さんが何気ない会話を交わしていた。だが、その内容が徐々にエスカレートし、ついには口論に発展してしまった。
「松本さん、カルテの順番が間違ってるんじゃない?」看護師の山田さんが指摘すると、松本さんは苛立った表情で「そんなはずないでしょ、ちゃんと確認したのに!」と反論した。その場の空気が一気に張り詰め、周囲のスタッフたちも言葉を失った。
周囲のスタッフはその様子を見て、ただ事ではないことを悟った。二人の関係がぎくしゃくしているのは明らかだったが、どうしてこうなったのか誰にも分からなかった。
3. 感情のすれ違い
昼休み、佐々木さんは松本さんに声をかけ、何が起こったのかを尋ねた。だが、「何もないわよ、ただ疲れてるだけ」と、心を閉ざしたままだった。佐々木さんはそれ以上問い詰めることができず、ただ見守ることしかできなかった。
その後も、二人の間には微妙な緊張が続いた。言葉を交わすたびに、小さな火花が散っていた。周囲のスタッフたちは、その緊張を感じ取りながらも、何も言えないでいた。
4. コミュニケーションの断絶
午後の診療が始まると、再びトラブルが起こった。ある患者のカルテが紛失したのだ。看護師の山田さんが焦りながらカルテを探し回る中、事務の松本さんは冷ややかな視線を送った。
「こんな大事なもの、どうしてなくすの?」松本さんの言葉には、明らかな苛立ちが込められていた。看護師の山田さんは、その言葉に怒りを抑えきれず、「あなたがきちんと管理してくれたら、こんなことにならなかったのに!」と声を荒げた。
医療事務の佐々木さんがその場に居合わせため、すぐに二人の間に割って入った。「落ち着いてください、まずはカルテを見つけましょう。」だが、その言葉は二人の怒りを鎮めるには至らなかった。
5. 誤解と仲直り
その日の業務が終わると、佐々木さんは松本さんを呼び止めた。「今日のこと、何かあったの?」松本さんはしばらく黙っていたが、ついに口を開いた。「実は、山田さんに言いたくても言えなかったことがあって...。でも、結局溜め込んでしまって、今日みたいなことになったの。」
松本さんは、自分の思いを山田さんにうまく伝えられず、その結果、誤解が生じていたのだ。その誤解が積もり積もって、今日のようなトラブルを引き起こした。
「でも、そんなふうにぶつかることだってあるよ。大切なのは、その後どうするかだと思う。」佐々木さんは、松本さんに優しく言葉をかけた。「明日、山田さんとちゃんと話してみたら?」
松本さんはしばらく考え込んでいたが、やがて小さく頷いた。「そうだね、明日、ちゃんと話してみる。」
6. 明日への一歩
次の日、事務の松本さんは看護師の山田さんに自分の気持ちを正直に伝えた。「昨日はごめんね、私、言いたいことがあっても、なかなか言えなくて...。でも、これからはもっとちゃんと話をしようと思う。」
山田さんも、自分の態度を反省していた。「私も、つい感情的になってしまってごめんね。これからは、もっとお互いに気持ちを伝え合おう。」
二人の間にあった誤解は解け、再び以前のような信頼関係が戻ってきた。佐々木さんはその様子を見て、心の中でほっとした。クリニックの中で働くスタッフたちは、ただの同僚ではなく、互いに支え合う仲間でもある。その絆を大切にすることが、良いチームを作り上げる鍵だと、美咲は改めて感じた。
ルールどおりに仕事をすることで上手くいかないことがあります。ときには柔軟に対応することで問題が大きくならず、上手く収まることもあるのです。本日のお話は、窓口業務を行っている受付スタッフの対応の一場面です。