Vol.764 情報共有こそがチーム医療の礎

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クリニック奮闘記

2024.10.15

クリニック奮闘記

Vol.764 情報共有こそがチーム医療の礎

横浜の閑静な住宅街の一角に位置する「横浜在宅クリニック」。老齢や病気で自宅での生活を続ける患者さんのもとへ、医師、看護師、ケアマネジャー、そして医療事務のスタッフが日々訪問し、一人ひとりに寄り添った医療を提供している。

ある日、ベテラン看護師の恵比寿さんが担当する、認知症を患う高橋さんの状態が急変した。普段は穏やかな高橋さんが、突然興奮状態になり、幻覚を見るようになったのだ。

恵比寿さんは、すぐにクリニックに連絡し、医師の田中先生に状況を報告した。田中先生は、高橋さんの病歴やこれまでの治療経過を詳しく確認し、適切な指示を出そうとしたが、あることに気づいた。

「恵比寿さん、高橋さんの最近の血圧の記録はありますか?」

恵比寿さんは、慌てて記録を見返したが、直近の血圧の記録が見つからない。実は、高橋さんの血圧は最近変動が大きく、毎日のように測定していたのだが、記録をつけるのを忘れてしまっていたのだ。

田中先生は、血圧が急変の原因の一つである可能性を指摘し、再度、高橋さんの自宅を訪問して、改めて血圧を測定するよう指示を出した。恵比寿さんは、自分のミスを深く反省し、改めて情報共有の重要性を痛感した。

この出来事をきっかけに、横浜在宅クリニックでは、情報共有の徹底が図られるようになった。

  • 毎朝のカンファレンス: 毎朝、全スタッフが集まり、前日の患者さんの様子や、今日の訪問予定などを共有する。
  • 電子カルテの導入: すべての患者さんの情報を電子カルテで管理し、リアルタイムで共有できるようにする。
  • 定期的な研修の実施: 情報共有の重要性や、効果的なコミュニケーションの方法などを学ぶための研修を定期的に実施する。

これらの取り組みによって、スタッフ間の情報共有は円滑になり、患者さんの状態をより正確に把握できるようになった。

情報共有がチーム医療の基礎である理由

  • 患者さんの安全確保: 患者さんの状態を正確に把握し、迅速に対応することで、医療ミスを防ぎ、患者さんの安全を確保できる。
  • 質の高い医療の提供: 各スタッフが、それぞれの役割を理解し、連携することで、より質の高い医療を提供できる。
  • 効率的な業務遂行: 情報が共有されていれば、重複した作業を防ぎ、業務の効率化を図ることができる。
  • スタッフのモチベーション向上: 情報共有がスムーズに行われることで、スタッフ間の連携が深まり、仕事に対するモチベーションが向上する。

情報共有は、チーム医療の根幹をなすものであり、患者さんのために最も重要なことの一つである。横浜在宅クリニックのスタッフたちは、このことを心に刻み、これからも患者さん一人ひとりに寄り添った医療を提供していくことを誓っている。