2024.11.05
クリニック奮闘記
Vol.778 クリニックのミニマム開業
近年、医療業界では「ミニマム開業」という言葉を耳にする機会が増えました。これは、従来のクリニック開業のように大規模な設備投資や人員確保を行うのではなく、最小限の費用で開業し、経営を安定させることを目指す開業形態です。DXを積極活用し、成功させるためには課題の多い開業形態ではありますが、開業コストが高くなってきていること、診療収入が減少傾向にあることを考えると、必然的な流れと「考えることができます。今回は、そんなミニマム開業の可能性についてまとめてみたいと思います。
ミニマム開業のメリット
- 初期費用の削減: 大規模な内装工事や高価な医療機器の購入を抑えることで、初期投資を大幅に削減できます。
- 柔軟な運営: 小規模なクリニックでは、患者との心理的な距離が近く、きめ細やかな医療サービスを提供しやすいというメリットがあります。また、多様な働き方に対応できるため、医師自身のワークライフバランスを重視した運営が可能となります。
- リスクの軽減: 大規模な投資を伴わないため、経営がうまくいかなくなった場合のリスクも軽減されます。
- 時代のニーズに合った医療: 在宅診療やオンライン診療など、新しい医療サービスとの連携もスムーズに行うことができます。
ミニマム開業のデメリット
- 収容能力の制限: 診療室や待合室が限られるため、患者数を増やすことが難しい場合があります。
- 専門性の限定: すべての診療科目を網羅することは難しく、専門性の高い医療機関への紹介が必要になるケースも考えられます。
- 競争の激化: 近年、ミニマム開業が増加しているため、競争が激化しているという側面もあります。
ミニマム開業を成功させるためのポイント
- 立地選定: 患者層や競合クリニックなどを考慮し、最適な立地を選ぶことが重要です。
- 診療科目の選択: 自分の専門性や地域のニーズに合った診療科目を絞り込むことで、差別化を図ることができます。
- 費用対効果の高い設備投資: 必要な医療機器を厳選し、費用対効果の高い設備投資を行うことが大切です。
- 経営資源を無駄なく集中:経営戦略上、特化する部分と捨てる部分の見極めが重要です。
- マーケティング戦略: SNSやホームページを活用した情報発信など、効果的なマーケティング戦略が求められます。
ミニマム開業の事例
近年では、完全予約制で年間150日間休めるミニマム開業を行うクリニックも現れています。このような事例を参考に、自分自身の理想のクリニック像を描き、具体的な計画を立てることが重要です。
まとめ
ミニマム開業は、少額の資金で開業したい医師や、ワークライフバランスを重視したい医師にとって魅力的な選択肢です。しかし、メリットだけでなくデメリットも理解し、慎重に計画を進める必要があります。