2024.12.02
クリニック奮闘記
Vol.803 クリニックM&Aにおけるデューデリジェンス(DD)
クリニックM&Aにおけるデューデリジェンス(DD)は、買収後のリスクを最小限に抑え、円滑な事業継承を行う上で非常に重要なプロセスです。ここでは、DDで特に注意すべき点について解説します。
1. 財務面
- 収益の安定性: 過去数年の売上高、経常利益の推移を詳細に分析し、季節変動や経済状況の影響を受けやすいかどうかを評価します。
- 債務状況: 短期借入金、長期借入金、未払金などの債務状況を把握し、返済能力に問題がないかを確認します。
- 固定資産: 建物、医療機器などの固定資産の現況、耐用年数、評価額などを確認します。
- 税務状況: 税務申告の内容、税務調査の有無、潜在的な税務リスクなどを確認します。
2. 法務面
- 許認可: 医療法人の設立許可、診療科目の許可など、必要な許認可が適切に取得されているかを確認します。
- 契約書: 賃貸借契約、医療機器リース契約、従業員との雇用契約など、重要な契約書の内容を精査します。
- 訴訟リスク: 訴訟や紛争の可能性がないか、過去の訴訟履歴などを確認します。
- 知的財産: 商標、特許などの知的財産権の有無、権利関係を明確にします。
3. 事業面
- 患者数: 患者数の推移、患者の年齢層、疾患別構成などを分析し、患者基盤の安定性を評価します。
- 競合状況: 地域における競合クリニックの状況、新規参入の可能性などを分析します。
- 医療サービス: 提供している医療サービスの内容、質、競合との差別化ポイントなどを評価します。
- 従業員: 従業員のスキル、経験、定着率などを確認し、人材の質を評価します。
4. その他
- 不動産: 建物、土地の所有状況、賃貸借契約の内容、耐震性、法規制への適合性などを確認します。
- 医療機器: 医療機器の保守点検状況、耐用年数、更新計画などを確認します。
- 情報システム: 電子カルテシステム、会計システムなどの導入状況、セキュリティ対策などを確認します。
- 環境問題: 医療廃棄物の処理、環境規制への対応状況などを確認します。
DDで注意すべき点
- 情報開示: 売却側は、すべての情報を正確かつ開示する義務があります。
- 専門家の活用: 法律、会計、医療など、それぞれの分野の専門家を積極的に活用することが重要です。
- リスク評価: DDを通じて得られた情報を基に、リスクを評価し、対策を検討します。
- 交渉力: DDの結果に基づき、売買価格や契約条件の交渉を行います。
まとめ
クリニックM&AにおけるDDは、多岐にわたる項目を調査する必要があります。専門家のサポートを得ながら、慎重かつ丁寧に進めることが重要です。